1999 Fiscal Year Annual Research Report
亜酸化窒素生成の小さいオンサイト硫黄脱窒による農地から水系への窒素負荷の削減
Project/Area Number |
10480140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00134015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30312979)
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Keywords | 亜酸化窒系 / 脱窒 / 農地 / 畑地 / 水田 / 硫黄 |
Research Abstract |
硝酸態窒素の除去と亜酸化窒素の発生の抑制は土壌中のさまざまな因子によって影響を受ける。含水率、p H、脱窒に利用可能な電子供与体が主たる因子であり、これらと反応の進行の関係をバッチ実験によって検討している。まず、含水率については、湛水した水田土壌のように水を多く含む場合には、脱窒が良好に進行しまた亜酸化窒素の発生量も小さいが、含水率が小さくなると脱窒速度が低下する一方で亜酸化窒素への転換が多くなることがわかった。このことは、亜酸化窒素の生成を伴わずに硝酸態窒素を除去するには畑地よりも水田のような環境の方が望ましいことを示している。次に、土壌のpHを中性に保つために炭酸カルシウムを添加することが亜酸化窒素の発生防止に大きな効果があることも明らかになった。更に、様々な物質を電子供与体として与える実験では、グルコースやセルロースなどの有機物を添加すると、硝酸態窒素の除去は大きい速度で進行するが、その一方で亜酸化窒素の生成が大きいこと、これに対して硫黄を用いた脱窒あるいは硫化物を用いた脱窒では亜酸化窒素の発生を抑制しつつ、一定程度の硝酸態窒素の除去速度が得られることがわかった。これらのことを統合し、高含水率で無酸素条件に保ち、炭酸カルシウムによって土壌を中性に保った状態で硫黄を土壌に混合することが、亜酸化窒素の発生を抑制した硝酸態窒素の除去にもっとも適しているといえる。 硫黄利用脱窒細菌をFISH法によって特異的に検出するための遺伝子プローブを作成し、純菌に対する有効性を明らかにした。また硫黄を混合させたカラムに硝酸態窒素を連続的に流入させる実験によって、土壌中にこの脱窒菌が高い濃度で出現することを見いだした。
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Research Products
(1 results)