2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10480150
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒田 裕久 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (00111930)
|
Keywords | 自己組織化 / ポルフィリン / 光合成モデル / 分子認識 / エネルギー移動 |
Research Abstract |
昨年度構築に成功した光集光アンテナ機能を有する自己組織化ポルフィリン9量体の機能制御のための新合成経路の開発およびシステムの拡張を試みた。ポルフィリンの周囲に配置する認識基となるピラジンとして臭素を末端に持つアルキルピラジンの一般的な合成法を開発することに成功した。得られたピラジンはフェノール性水酸基を有するテトラフェニルポルフィリンと容易に反応してエーテル結合でピラジン基を結合したポルフィリンを与える。新合成法を用いてアルキル鎖長の異なるテトラフェニルポルフィリンーピラジン誘導体の合成を新たにおこなった。これらの新規ポルフィリンとテトラカルボキシポルフィリンのZn錯体を用いた電子スペクトルによる滴定実験、蛍光測定実験から、これらの系においてもほぼ定量的に室温でピラジンポルフィリンとテトラカルボキシポルフィリン比1:8の巨大ポルフィリン自己組織化系が生成する事が明らかとなった。これらの自己組織体内でのエネルギー移動反応について検討を加えたところ、アンテナポルフィリンと中心ポルフィリンの見掛けの距離依存性は比較的小さいことが見出されたが、これらの結果はアンテナポルフィリンを集積した結果見掛けのエネルギー移動効率が飽和していることを示している可能性がある。この点は、今後自己組織体のコンフォーメーション自由度をも制御した系を構築することによる距離依存性についての定量的な評価が必要とされるが、実際の光合成系で多数のアンテナピグメントが集積されていることと関連して極めて興味深い。また、自己組織体の拡張については、8つのピラジン基を持つポルフィリンの合成に成功し、これを中心ポルフィリンとしてテトラカルボキシポルフィリンのZn錯体との間で、ポルフィリン17量体の自己組織化に成功した。この成果は、実際の光合成系にほぼ匹敵するポルフィリン集合体の構築が人工系で可能なことを示した初めての例である。
|
Research Products
(1 results)