1998 Fiscal Year Annual Research Report
生物的機能導入に基づく新規設計人工タンパク質の化学進化工学の研究
Project/Area Number |
10480153
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西野 憲和 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (40145165)
|
Keywords | βαβα構造 / コラーゲン / 人工タンパク質 / 触媒機能 / 酵素モデル |
Research Abstract |
フラビンおよびポルフィリン鉄錯体を担持したβαβα構造体のシトクロムP-450類似活性発現を試みている。アミノ酸49残基からなる1本鎖βαβαポリペプチド構造体にフラビンおよび鉄ポルフィリン錯体を共有結合的に導入し、シトクロムP-450の還元等量獲得から酸化反応までをβαβαポリペプチド1分子で模倣したペプチドを設計、合成した。 吸収スペクトル測定により、このペプチドはpH7.0の緩衝液中で鉄ポルフィリンが低スピン状態にあることがわかった。これはα-ヘリックスセグメント中のビスヒスチジンによる鉄への第5,6軸配位を示唆する。またCDスペクトルの測定により、鉄ポルフィリンのB吸収帯における分裂型CDを観測した。これらスペクトル中の低スピンを示唆するシグナルはメタノールの含量が増すと減少し、鉄ポルフィリンは低スピンから高スピン状態へと変化したと考えられる。今後、このペプチドにジヒドロニコチンアミドを添加してアニリン水酸化活性を調べる予定である。 ピレンを含むコラーゲン様トリプルへリックスの生成を行い、立体構造評価を行った。コラーゲン様トリプルヘリックスの配列中央部にピレンを導入したモデルペプチドを設計、合成した。このモデルペプチドのCDスペクトルをリン酸緩衝液中で測定したところ、4℃においてこのペプチドは三重鎖構造を形成することが分かった。またこのペプチドはピレンの吸収波長領域において負の誘起CDスペクトルを示した。熱変性実験を行いこのペプチドの構造安定性を調べたところ、アミド領域のCDスペクトルから得られた変性のエネルギーはピレン領域の吸収波長領域から得られた変性のエネルギーと同様であった。これはこのピレン部分がコラーゲン主鎖構造の変化を反映していることを示している。
|
-
[Publications] Kazuaki Kaneko, Kin-ya Tomizaki, and Norikazu Nishino: "Catalytic activities of an artificial heme enzyme" Peptides Proceedings of the 1st International Peptide Symposium. in press. (1999)