1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベルでの視覚認識の解明に供する幾何的に純粋な11Z-レチナール誘導体の合成
Project/Area Number |
10480154
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50167285)
|
Keywords | 1,1-ジブロモアルケン / パラジウム / ニッケル / クロスカップリング / 三置換アルケン |
Research Abstract |
11Z-レチナールの9位および13位置換誘導体を合成するためには共役した三置換アルケン部分を如何に立体化学を制御して構築するかが問題である。今年度はその基本的な問題に取り組むために、1,1-ジブロモアルケンに対して段階的にかつ立体特異的に炭素炭素形成反応を行う方法について検討した。その結果、パラジウム触媒の存在下に、1,1-ジブロモアルケンのトランス側にアルキニル基およびアルキニル基を選択的に導入することに成功した。またニッケル触媒存在下に、アルキル基を導入することに成功した。この際、パラジウムおよびニッケル触媒の種類と用いるリガンドの種類によって、反応の可否およびトランスモノ置換体とビス置換体との選択性が大きく異なってくることがわかった。そして、これらの合成できたそれぞれアルケニル基、アルキニル基、アルキル基置換Z型ブロモアルケンをさらにアルケニル化、アルキニル化およびアルキル化を行い、立体特異的に共役した三置換アルケンを合成することに成功した。この場合も触媒の種類と用いるリガンドの種類が炭素炭素結合形成の鍵を握っていることを明らかに出来た。この知見についての一般性を確立するためには今少しのデータの蓄積が必要であるが、三置換アルケンの立体化学を制御する新しい手法として価値があると考えられる。そしてレチナールの9位から13位までの炭素炭素形成とその原料である炭素鎖が共役したブロモアルケンの合成が可能となった。
|