1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗一細胞接着マトリックスのシグナルの伝達機構と細胞機能の研究
Project/Area Number |
10480161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Keywords | 抗一細胞接着 / PG-M / バーシカン / アネキシンVI / ヒアルロン酸 / シグナル伝達 / コンドロイチン硫酸 / アルタティブスプライシング / インテグリンクラスターリング |
Research Abstract |
1) 抗一細胞接着マトリックス分子PG-Mの細胞表面特異レセプターとしてannexin VIの関与を確認し、抗一細胞接着に到るシグナル伝達の反応機構と関与分子を明らかにする実験を行った。発現ベクターに組み込んだannexin VIcDNAをこの分子を発現していないヒト細胞株A431に導入した。FACS解析による抗体との反応性から発現タンパク質の一部の細胞表面への露出と、その発現度に依存した培養皿にコートされたコンドロイチン硫酸基質に接着する能力(つまりコンドロイチン硫酸との結合)の細胞の獲得を確認した。annexin VIの部分ドメイン変異分子を発現させた場合との比較から、この活性には分子全体の発現の必要を見いだした。コンドロイチン硫酸と結合したannexin VIからのシグナル伝達により細胞進展が抑制される機構を想定し、既存のシグナル伝達抑制剤の代表的なもの(例、HA1004、ハービマイシンなど)の効果を調べたが、何れもがコンドロイチン硫酸による細胞伸展抑制を抑えなかった。これらの結果から、annexin VIに連動するシグナル伝達系の存在は既知のものは期待が難しく、現在、まずコンドロイチン硫酸-annexin VI複合体の接着班付近における分布により細胞伸展に必要なインテグリンのクラスターリングが妨げられる機構を想定し、インテグリンの分布変化を詳細に解析している。 2) PG-Mのコンドロイチン硫酸鎖を持たないV3スプライスドフォームのcDNAを本来このフォームを発現していなくコンドロイチン硫酸鎖をもつV1フォームを発現している内皮細胞に導入し強制発現させて、その抗一細胞接着マトリックス形成の人工改変の可能性と細胞挙動への影響の有無を調べた。影響をさらに明確にするため、現在、発現効率を上げるべく、ベクターの改良を行っている。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] N.Itano, K.Kimata.: "Hyaluronan synthase : New directions for hyaluronan reseach." Trends in Glycoscience and Glycotechnology. 10. 23-38 (1998)
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[Publications] Y.Yamada, N.Itano, et al.: "The gene structure and promoter sequence of mouse hyaluronan synthase 1 (mHAS1)" Biochem J. 330. 1223-1227 (1998)
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[Publications] Y.Iwata, T.Shinomura, et al.: "The gene structure and organization of mouse PG-Lb, a small chondroitin/dermatan sulphate proteoglycan." Biochem J. 331. 959-964 (1998)
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[Publications] H.Watanabe, Y.Yamada, et al.: "Roles of aggrecan, a large chondroitin sulfate proteoglycan, in cartilage structure and function." J Biochem. 124. 687-693 (1998)
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[Publications] M.Zhao, T.Tanaka, et al.: "Immunohistochemical evaluation of the small and large proteoglycans in pleomorphic adenoma of salivary glands." J Oral Pathol Med. 28. 37-42 (1999)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "プロテオグリカン2癌転移におけるヒアルロン酸の役割." 週刊医学のあゆみ. 184. 251-253 (1998)
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[Publications] 米田雅彦,来田太平,他: "ヒアルロン酸リッチマトリックスの役割と形成機構." Connective Tissue. 30. 69-73 (1998)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "ヒアルロン酸合成酵素 : 細胞外マトリックス改変に向けてのシナリオ." 生化学. 70. 1171-1175 (1998)
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[Publications] 板野直樹,吉田衛,木全弘治.: "ヒアルロン酸合成酵素 遺伝子改変によるヒアルロン酸機能解析." 蛋白質 核酸 酵素1998年12月号増刊糖鎖生物学. 43. 2387-2393 (1998)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "3.細胞外マトリックスと分解 1)プロテオグリカン 1.プロテオグリカンの構造と機能." 癌転移 転移の分子メカニズムと臨床展望. 医薬ジャーナル社, 102-112 (1998)