1999 Fiscal Year Annual Research Report
P型ATPアーゼの反応機構・細胞内輸送および生理機能
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10480168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 正知 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (80190297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 綾子 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (90272484)
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Keywords | P-ATPアーゼ / H^+ / K^+-ATPアーゼ / Cl^-チャンネル / 細胞内輸送 / プロトンポンプ / Mat-8 / 胃粘膜細胞 |
Research Abstract |
本年度は以下の二つの研究に進展が見られた。 (1)昨年度、マウス反転胃を調製して粘膜細胞を培養する方法論を確立した。本年度は、さらにこの遊離胃粘膜細胞を分画することを考え、パーコールの密度勾配中で細胞を遠心分画した。その結果3層の細胞のバンドが形成した。各層の細胞を分取後mRNAを抽出し、それからcDNAを合成した。種々胃粘膜細胞に特異的に発現するmRNAが知られているが、分取した細胞にそれらが発現しているかどうかPCRにより調べた。その結果、上層にのみH^+/K^+-ATPase(プロトンポンプ)の発現が認められ、この層が壁細胞に富む細胞からなっていると結論した。中間の層では内因子やペプシノーゲン、ムチンが発現しており頚部粘液細胞や主細胞に富む細胞の層であることがわかった。下層にはムチンが発現し表層粘液細胞に富むと考えられた。また次に述べるMat-8も下層に特異的に発現していた。このような分画方法を導入することで、種々胃粘膜細胞の株細胞樹立に道が開けると考えられる。 (2)Mat-8を導入したアフリカツメガエル卵母細胞には、Cl^-チャンネル活性が発現する。胃酸であるHClの分泌はプロトンポンプとCl^-チャンネルの協調的な作用でおきていることから、Mat-8の機能は興味深い。(1)の分画手法により、MAt-8はプロトンポンプを発現する壁細胞ではなく、表層粘液細胞で発現することが明らかになった。Mat-8が表層粘液細胞において、HClの分泌と関連してどのような形でCl^-チャンネル活性を示したり制御しているのかが興味深い。
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Research Products
(2 results)