1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10480175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90165093)
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Keywords | 1分子 / キネシン / 微小管 / ナノ計測 |
Research Abstract |
牛の脳神経細胞から精製したキネシン分子を直径1μmのポリスチレンビーズ1個当たり1分子の割合で混ぜ,キネシン分子をビーズ表面に結合させた。このキネシン付きビーズをレーザーにより捕まえ,ガラス表面に結合した微小管の上に持ってき,ビーズ上のキネシン分子が微小管に近づくと相互作用して運動を開始した.ビーズの動きをnm,pN計測することによって間接的にキネシン分子の運動を追跡した.ビーズの変位は100μsのサンプリングレートでコンピューターに取り込んだ。レーザートラップした1μmビーズを緑レーザーで斜光照明し,得られた暗視野像を4分割光センサーでナノ計測した.冷却は対物レンズに回したチューブと試料の上のアルミ板中を冷却水を循環して行.低温では,室温との温度差によるステージのドリフトが起こるので,ステージ温度を一定に保ちドリフトが小さくなる工夫をした.その工夫の1つとして,ステージには温度膨張率の低い合金を利用した.さらに,低温により,発生する霜や水滴がステージや対物レンズ当に付着しないように,ステージ周辺部を乾燥さた.斜光照明は出来るだけビーズからの散乱光を稼ぐために,緑レーザー光を集光した.レーザートラップされたビーズを緑レーザーで照明し9℃まで冷却しでナノ計測できる装置を開発した.低温では,室温との温度差によるステージのドリフトが起こるので,ステージ温度を一定に保ちドリフトが小さくなる工夫をした。さらに,低温により,発生する霜や水滴がステージや対物レンズ当に付着しないように,ステージ周辺部を乾燥させておいた.この装置を用いて,9℃におけるキネシンの運動を調べたところ,速度は25℃のときの5分の1に低下するが発生力はほとんど変化しなかった.この結果は,運動速度は化学反応速度と関係するが,発生力は反応速度と直接関係ないことが明らかにされた.
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