1999 Fiscal Year Annual Research Report
原核・真核生物に普遍的な二成分リン酸リレー情報伝達ネットワークの分子基盤解析
Project/Area Number |
10480191
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 猛 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10174038)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / タンパク質のリン酸化 / 環境応答 / 遺伝子発現制御 / リン酸リレー |
Research Abstract |
本研究計画に基づいて、分裂酵母のストレス応答とそれに関わるシグナル伝達機構に関して広範な解析を継続・展開する中で次のような多くの成果を上げてきた。 1)分裂酵母の浸透圧ストレス感受性変異株群の取得と解析を行い、多くの遺伝子を同定した。 2)分裂酵母の浸透圧ストレス応答遺伝子Gpd1(グリセロール合成遺伝子)をクローニングした。 3)Gpd1遺伝子のプロモーター構造を明らかにし、その発現がWis1-Sty1MAPキナーゼカスケードに支配されていることを示した。 4)Wis1-Sty1MAPキナーゼの解析を行い、このシグナル伝達系が多様なストレス応答に関与していることを示唆した。 5)転写因子Atf1の示すカルシュウム感受性を見出し、その機能を解析した。 6)Wis-Sty1MAPキナーゼと関連して働く転写因子群(Atf1、Atf20、Atf30)を取得・解析した。 7)分裂酵母にから新規な転写因子をコードする遺伝子(Prr1)をクローン化して、バクテリア型His-Aspリン酸リレーシグナル伝達ドメインを持つことなどの構造的特徴を明らかにした。 8)Prr1欠失変異株を作成し、Prr1がカタラーゼ遺伝子(Crr1)の発現を制御するなど酸化ストレス応答に重要であることを明らかにした。 この過程でストレス応答転写因子であるPrr1欠失変異株が接合・減数分裂不能の表現型を示すことを最近になって新たに見出した。このことから、Prr1が分裂酵母における多様なストレス応答(酸化ストレスや栄養飢餓)に関わるユニークな因子であることを明らかにした。Prr1の機能やそれに関わるシグナル伝達機構を解析することで、細胞周期・減数分裂を制御するシグナル伝達機構の解析という普遍的課題に発展させることができると考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Imamura,A. et al.: "Compilation and Characterization of Arabidopsis thaliana response regulators implicated in His-Asp phosphorelay signal transduction"Plant Cell Physiol. 40. 733-742 (1999)
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[Publications] Kiba,T. et al.: "Differential expression of genes for response regulators in response to cytokinins and nitrate in Arabidopsis thaliana."Plant Cell Physiol. 40. 767-771 (1999)
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[Publications] Nakamura, A. et al.: "Biochemical characterization of putative cytokinin-responsive His-Kinase, CKI1, from Arabidopsis thaliana."Biosci. Biotechnol. Biochem.. 63. 1627-1630 (1999)
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[Publications] Ohmiya, R., et al.: "Isolation of multicopy suppressors of the calcium sensitivity of a mutant lacking the bZIP transcription factor Atf1 in fission yeast"Mol. Gen. Genet.. 261. 297-306 (1999)
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[Publications] Ohmiya, R., et al.: "A fission yeast gene (Prr1^+) that encodes a response regulator implicated in oxidative stress response."J. Biochem.. 125. 1066-1999 (1999)
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[Publications] Ohta T., et al.: "The rpos function is crucial for bgl silencing by the C-terminaly truncated H-NS in Escherichia coli"J. Bacteriol. 181. 6278-6283 (1999)
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[Publications] 水野 猛: "大腸菌の浸透圧応答"化学と生物(学会出版センター). 37:276-281 (1999)
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[Publications] 水野 猛: "沈黙する遺伝子"化学と生物(学会出版センター). 37;:532-534 (1999)