1998 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母染色体複製開始複合体の細胞周期におけるダイナミクス
Project/Area Number |
10480193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 洋太 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (20260622)
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Keywords | 分裂酵母 / 複製開始 / ORC |
Research Abstract |
本年度は出芽酵母複製開始点結合複合体ORCのサブユニットの一つORC5の分裂酵母のホモログorp5についての詳細な解析を進めた。すでに遺伝子破壊株の解析からorp5が分裂酵母においても複製開始に関与することを示す結果を得ていた。出芽酵母ではORCが複製開始のみならず遺伝子発現のサイレンシングなとの他の過程にも関与することが示唆されている。そこで本年度はorp5の高温感受性株を多数分離しその表現型の解析、さらに遺伝的相互作用する因子の解析により、orp5の複製開始点での役割、また複製開始以外の機能についてより詳細に検討を試みた。またorp5と相互作用する因子を同定するためにyeast two-hybrid assayによるスクリーニングを行った。1)0rP5高温感受性変株の解析。mutagenic PCRを用いることでorp5の高温感受性変異株を10株以上単離した。そのうちの一部は予想通りDNA開始に異常を示した。しかし、他のものにはDNA合成には顕著な異常は見られず、いわゆるs期チェックポイントコントロールの異常を示すものがあった。さらに、これらの株ではチェツクポイントコントロールに直接関与する遺伝子と遺伝的相互作用を示すものが存在した。これらの結果はorp5が複製開始のみならずs期チェックポイントコントロールに関与することを示している。2)orp5をbaitととするtwo-hybrid screeningにより、複製にカップルしたクロマチン形成因子CAF1のlarge subunitの分裂酵母ホモログを単離した。さらに、この相互作用は細胞内でも確認できた。このことはorp複合体が複製にともなうクロマチン構造の維持に関与することを示唆している。しかし、CAF1ホモログの遺伝子破壊株は顕著な表現型を示さずredundantな機能を持つ因子の存在が予想される。以上の解析の結果から、orp(ORC)複合体は染色体の構成成分としてクロマチン構造の維持に働いていて、複製開始への関与はその機能の一部ではないかと考えている。
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