1998 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系、神経系におけるカルシニューリン情報伝達系の解析
Project/Area Number |
10480204
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
芝崎 太 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (90300954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 利弘 筑波大学, 臨床医学系神経内科, 講師 (50212311)
近藤 英作 岡山大学, 医学部・生理学第一講座, 助手 (30252951)
大森 信彦 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 微生物研究部門, 研究員 (80311421)
|
Keywords | カルシニューリン / NF-AT / Bcl-2 / 細胞死 / リン酸化 / 虚血 / Transgenic / glia |
Research Abstract |
(1) Bcl-2キナーゼの同定とカルシニューリンとの相互作用の解析(芝崎、大森、近藤) 本年度の研究成果としてカルシニューリンによるBcl-2の機能的脱リン酸化部位の決定を行った。Dexamethazonc耐性を指標にしたBcl-2変異体の解析にて、N-末端にあるBH4領域およびそれに続くLoop領域のdeletion mutantはBcl-2の抗アポトーシス効果を消失させた。さらに詳しい解析によりS24およびS70が非常に重要な部位であることが判明した。さらにリン酸化に関与するキナーゼの同定を行うため、bovine thymus,brainから約60kdaのBcl-2キナーゼを精製した。現在、遺伝子を同定しており、今後リン酸化、脱リン酸化に伴うBcI-2/Baxの制御機構や細胞死の情報伝達系を詳しく解析する予定である。 (2) 神経細胞死、特に虚血に伴う遅発性神経細胞死におけるカルシニューリン情報伝達系の解析(大森、吉澤) これまでの報告によりカルシニューリン依存性の細胞死がBax familyの一つであるBadの脱リン酸化を介して起こることが判明した。さらに別の報告では虚血性神経細胞死にカルシニューリンの特異的阻害剤であcyclosporineA(CsA)やFK506が著明な効果を示すことが判明し、この神経細胞死にカルシニューリン情報伝達系の関与が強く示唆されるため、ラットを用いた詳しい解析を現在行っている。加えてカルシニューリンのdominant negative.変異体をラットに遺伝子導入し、現在founderが生まれた。今後、各組織におけるこの変異体の影響を解析するとともに、このラットを用いて虚血を起こし、カルシニューリンがどの程度遅発性細胞死に関与しているかを詳しく解折していく予定である。 3) カルシニューリン/NF-AT細胞内情報伝達系系の解析(芝崎、大森、近藤) T細胞に特異的に発現していると思われていたNF-ATはそのサブタイプの検討により、心臓、脳などの非リンパ球組織にも発現していることが判明した。昨年の報告ではカルシニューリン/NF-Tの活性化により心筋肥大の原因になることや、さらに我々の独自の解析により、NF-AT4、即ち未熟T細胞にのみ発現しているサブタイプが脳内特にGlial cellsに発現していることを初めて見いだした。来年度はこれらの実験結果に踏まえ、上記の遺伝子導入ラットおよびマウスを用いた詳細な解析を行う予定である。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] Zhu,J.,Shibasaki,F.,et al.: "Intramolecular masking of nuclear import signal on NF-AT4 by casein kinase I and MEKKI." Cell. 93. 851-861 (1998)
-
[Publications] Shibasaki,F.: "A new aspect of serine/threonine phosphatase 2B calcineurin." J.Biochem. (発表予定). (1999)
-
[Publications] Wang,H-G.,Pathan,N.,Shibasaki,F.,et al.: "Calcineurin promotes cell death by dephosphorylating BAD" Science. (発表予定). (1999)
-
[Publications] Shimoyama,M.,Komuro,I.at el.: "Calcineurin plays a critical role in pressure overload-induced cardiac hypertrophy." J.Clinic.Invest.(発表予定). (1999)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンとBcl-2の相互作用および情報伝達系との関わり" 臨床免疫. 30. 689-696 (1998)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンの新たな展開:神経細胞死制御" 脳の科学. 20. 203-208 (1998)
-
[Publications] 大森信彦、芝崎 太: "カルシニューリンによる転写因子調節、NF-ATの機能制御を中心に" 蛋白質 核酸 酵素. 43. 1047-1054 (1998)
-
[Publications] 下重美紀、芝崎 太: "Ca^<2+>と動態;カルシウム/カルシニューリンを介するアポトーシス制御機構" 蛋白質 核酸 酵素(臨時増刊号). 43. 1877-1883 (1998)
-
[Publications] 近藤英作、芝崎 太: "Bcl-2によるアポトーシス制御機構の新たな展開;カルシニューリンはBcl-2の機能制御因子である" 実験医学. 16. 1253-1258 (1998)
-
[Publications] 芝崎 太: "カルシニューリンの脳における新たな展望" 神経精神薬理. 16. 205-208 (1998)
-
[Publications] 瀬戸口 るり、芝崎 太: "CTLA-4(CD152)からのシグナル" 臨床免疫. (発表予定). (1998)