1999 Fiscal Year Annual Research Report
マウス背側神経管に発現するWnt遺伝子の機構の解析
Project/Area Number |
10480208
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 慎治 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60206753)
|
Keywords | 発生 / 形態形成 / 細胞間相互作用 / 神経管 / 体節 / シグナル分子 |
Research Abstract |
本研究においては、中脳から脊髄にかけての神経管の最も背側の領域、即ち蓋板(roof plate)、で発現している細胞間シグナル分子Wnt-1とWnt-3aに着目し、これら分子が神経管の形成、神経冠細胞の形成、分化、さらに神経管の近傍に位置する体節の形成、分化に及ぼす役割を明らかにすることを目的とする。本研究では、これまでにこれら2つのWnt遺伝子の二重変異体を用いて、roof plateから分泌されるWntシグナルが神経冠細胞の形成や体節の発生に必須な役割を果たすことを明らかにしてきた。本年度は、これまで詳細に解析してこなかった神経管の背腹軸に沿ったパターン形成や神経細胞の分化にWntシグナルが何らかの影響を与えているかどうかを明らかにするため、この二重変異体を用いて解析した。その結果、二重変異体においては、神経管の背側に発生する神経細胞に特異的に発現するいくつかの遺伝子の発現が低下していることが明らかとなった。このことは、神経管のroof plateから分泌されるWntシグナルは神経管の背側で分化する神経細胞の形成に必須な役割をはたしていることを示している。そこで、神経管の背側に発生する神経細胞がWntシグナルによってどのように制御されるのかをさらに詳細に解析するため、神経管細胞の培養系にWntタンパク質を添加する実験を計画し、今年度はその準備段階として胎生期のマウスの神経管を材料に神経細胞を培養する系を確立した。
|
-
[Publications] Takeuchi S.,Takeda K.,Takada S.,他12名: "Mouse Ror2 receptor tyrosine kinase is required for the heart development and limb formation"Genes Cells. (in press).
-
[Publications] Yamaguchi,T.P.,Takada,S.Yoshikawa,Y.,他2名: "T (Brachyury) is a direct target of Wnt3a during paraxial mesoderm specification"Genes Dev.. 13. 3185-3190 (1999)
-
[Publications] Yamamoto H.,Kishida S.,Takada S.他3名: "Phosphorylation of Axin, a Wnt signal negative regulator, by glycogen synthese kinase-3β regulates its stability"J. Biol. Chem.. 274. 10681-10684 (1999)
-
[Publications] Kishida M.,Koyama S.,Takada S.他6名: "Axin prevents Wnt-3a-induced accumulation of β-catenin"Oncogene. 18. 979-985 (1999)