1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10480210
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 滋 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10252503)
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Keywords | 形態形成 / パターン形成 / 魚 / 縞模様 / ゼブラフィッシュ / 反応拡散波 / シミュレーション / プレコ |
Research Abstract |
研究の最終的な目的は反応拡散波の分子機構を明らかにし、それが形態形成の位置情報として働いていることを示すことである。しかし、唯一「波の存在」が確認されているタテジマキンチャクダイは飼うだけでも非常に難しく、とても実験に使うどころではない。また、このメカニズムがどのくらい普遍的なのかも不明であった。もし、タテジマキンチャクダイにのみ存在する極めて特殊な現象ならば、研究する意味は乏しい。そのため、 (1)実験に耐えうる動物を探す (2)波の機構がどのくらい普遍的なのかを調べる、 という2つの目的で、多くの種類の魚、は虫類、両生類を飼ってその成長に伴う模様変化を観察した。その結果、魚類の多くの目(サメ目、エイ目、ウナギ目、スズキ目、フグ目、カレイ目)やとかげ、両生類の一部などでも、チューリング理論と一致するパターン変化を確認することができた。反応拡散波は、一部の生物にだけ存在する特殊なものでなく、脊椎動物に共通のパターン形成機構である可能性が高い。また、安価なうえ丈夫であり、実験に十分に耐えうる魚セイルフィンプレコを発見することが出来た。これにより、薬剤投与などの直接的な方法でメカニズムに迫る足がかりができた。さらに、ミュータント間の掛け合わせ実験と計算機解析により、zebrafishのleopard遺伝子が反応拡散波形成の分子機構の一部であることを証明した。計算に使った式が、現実の分子機構に近いと仮定するとleopard遺伝子はactivator分子の合成に関わっていると推定される。現在leopardや他の模様変異遺伝子のクローニングを進めている。
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