1998 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルシャペロニン:単一分子レベルでの力学的タンパク質再生実験
Project/Area Number |
10490016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪飼 篤 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (50011713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大方 香代子 東京工業大学, 生命理工学部, 教務職員 (60213641)
荒川 秀雄 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (80211704)
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Keywords | タンパク質立体構造 / シャペロニン / 原子間力顕微鏡 / フォールディング反応 / ナノカ学 |
Research Abstract |
原子開力顕微鏡のナノ力学測定機能を使用して単一たんぱく質分子の力学的アンフォールディング実験とフォールディング実験を行った.窒化シリコン製の探針をシラン化したのち,同じくシラン化したシリコン基板にジスルフィド結合を介して化学架橋剤で固定したたんぱく質分子に近づける.たんぱく質の基板とは反対側の端が探針上の化学架橋剤と反応するのを待ち,探針-基板間距離を増すことにより,たんぱく質分子はその両端から引き伸ばされてゆく.この様子を印加力と分子の延伸距離の関数としてプロットすると,たんぱく質の今まで知られていなかった力学的性質を知ることができる.その結果によるとカルボニックアンヒドラーゼのようにβ-シート構造をもち,また立体構造に「結び目」がある場合には2nNの力を加えないと分子は破壊されないが,この「結び目」ができない変異体を使用すると,分子は1nN程度の力で破壊される.一度引き伸ばしたたんぱく質を再び縮める実験も可能であるが,カルボニックアンヒドラーゼは立体構造再生に比較的長い時間がかかるたんぱく質であるため,部分的立体構造再生は観測されるが,完全な立体構造再生にはさらに長時間かける必要がある.現在β-シート構造を持つたんぱく質の他にα-へリックス構造を主構造とするたんぱく質についても延伸と収縮実験を行っている.この実験で判明したたんぱく質の延伸力学を利用して,酵素と基質の相互作用,たんぱく質問相互作用,リガンドと受容体の相互作用を精確に測定することができるようになった.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] XU,X-M.and IKAI,A.: "Recovery and amplification of plasmid DNA with atomic force microscopy" Analytica Chimica Acta. 361. 1-7 (1998)
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[Publications] GAD,M.and IKAI,A.: "Mapping cell wall polysaccharides of living microbial cells using atomic force microscopy" Cell Biology International. 21. 697-706 (1998)
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[Publications] OSADA,T.and IKAI,A.: "Atomic force microscopy of histological sections using a new electron beam etching" J.Microscopy. 189. 43-49 (1998)
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[Publications] XU,Xue-Ming and IKAI,A.: "Retrieval and Amplification of Single-Copy Genomic DNA from Chromosomes" Biochem.Biophys.Res.Commun.248. 744-748 (1998)
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[Publications] 猪飼 篤: "SPMによる生体構造の観察と物性評価" 表面. 36. 1-8 (1998)