1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10490019
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 浄 鳥取大学, 農学部, 教授 (50124350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 靖雄 鳥取大学, 農学部, 助手 (90283978)
|
Keywords | アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / 遺伝子発現 / イネ / 過酸化水素 / カタラーゼ / 活性酸素 / 冠水ストレス / ディファレンシャルディスプレー |
Research Abstract |
植物が冠水すると、冠水中は少なくとも見かけ上、正常に生育しているが、冠水解除されると萎れ、枯れることが観察される。本年はこの障害発現機構について研究した。自然光ガラス室内で育成した鉢植えのホウレンソウを3日間、冠水(水没)させた。その後、水中から引き上げ、ガラス室内で通常の環境下で育成した。植物は冠水時、酸素の供給が低下することから嫌気状態になり、嫌気代謝が促進され、好気代謝が低下することが予測される。冠水時、冠水解除後も、嫌気代謝系の指標物質であるエタノール、乳酸は一定レベルを示した(有機酸、糖、アミノ酸の分析を糖分析システムで行った)。興味あることに、好気代謝の指標物質である過酸化水素は冠水解除直後に顕著な増加を示した。この時、植物の過酸化水素消去酵素であるアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)、カタラーゼ活性が、冠水処理時に低下し、冠水解除後、回復した。この事実は冠水時に、酸素代謝系酵素活性が低下し、冠水解除時に酸素に接触することにより、活性酸素生成が高まり、過酸化水素が蓄積したことを示す。以上の結果から、冠水による植物障害において、冠水解除後の過酸化水素などの活性酸素の影響を無視できないことが示された。次に、フィリピンの国際イネ研究所から冠水耐性イネ品種(O.Sativa IND FR13A)、感受性品種(O.sativa PHL IR42)を入手し、冠水、冠水解除時の活性酸素代謝系関連物質を測定した。冠水耐性イネにおいて冠水解除後の過酸化脂質生成量は感受性品種よりも低く、抗酸化物質含量(アスコルビン酸と還元型グルタチオン)は高いレベルを維持し、活性酸素消去酵素(グルタチオン還元酵素、APX、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ)は、感受性品種よりも、速やかな活性の回復を示した。冠水で誘導される遺伝子の同定について、遺伝子増幅装置を利用して現在、遂行中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] I.Terashima: "The cause of PSl photoinhibition of low temperature in leaves of Cucumis sativus,achilling-sensitive plant" Physiologia Plantarum. 103・295. 295-303 (1998)
-
[Publications] Y.Morimura: "Light-enhanced induction of ascorbate peroxidase in Japanese radish roots during postgermidative growth" Plant Science. (accepted). (1999)
-
[Publications] K.Tanaka: "Photooxidative Stress Sensitivity of Transgenic Plants Containing Altered Levels of Active Oxygen Scavenging Enzymes. In Stress Responses of Photosynthetic Organisms" K.Satoh and N.Murata (Elsevier Science,Netherland), 12 (1998)