1999 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス特異結合の分子機構:ショウジョウバエをモデル系とした解析
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10490030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30260037)
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Keywords | ショウジョウバエ / 神経-筋結合 / 神経認識 / 筋肉 / 神経 / 軸索誘導 / 異所発現 / シナプス形成 |
Research Abstract |
本研究は、ショウジョウバエの神経系(主に神経-筋結合系)をモデル材料として、神経回路形成のメカニズムを探ることを目的とする。特に標的細胞の認識過程およびシナプス形成の初期過程に関連した機能分子の同定をめざす。昨年度計画において、異所発現トラップ法を用い、筋肉全体での異所発現が標的認識の特異性を変化させるような新規遺伝子をいくつか同定した。本年度はこれらについて正常発生過程における機能を推定するため、まず転写産物の発現様式を調べた。その結果2つ(系統名 1092、1085)について神経系内の特定の細胞において発現することが判明した。このことはこれら遺伝子が、神経結合の特異性生成に関与することを強く示唆する。さらにタンパク質の1次構造の情報を得るためcDNAの単離を試み、1092について全長cDNAを得た。シークエンスを決定した結果、1092遺伝子は新規の膜タンパク質をコードすることが判明した。以上の構造、発現、異所発現の効果の解析結果は1092が新しいタイプの軸索誘導分子であることを強く示唆している。現在、遺伝子機能欠損株の作製等により1092遺伝子の機能についてのより詳細な機能解析を行っている。以上のように異所発現トラップ法により、現在までに新たな軸索誘導分子の候補を1つ同定することに成功した。今後1085等の他の株についても同様の解析を進めることにより、特異的シナプス形成過程に関わる新規分子をさらに同定できると期待している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Taniguchi,H.,Shishido,E.,Takeichi,M. & Nose,A.: "Functional dissection of Drosophia Capricious : its novel roles in neuronal pathfinding and selective synapse formation"J.Neurobiol.. 42. 104-116 (2000)
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[Publications] Feinstein,Y.,Borrel,V.,Garcia,C.,Burstyn-Cohen,T.,Tzarfaty,V.,Frumkin,A., 他: "F-spondin and mindin : two structurally and functionally related genes expressed in the hippocampus that promote outgrowth of embryonic hippocampal neurons"Development. 126. 3637-3648 (1999)
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[Publications] Tabuchi,K.,Sawamoto,K.,Suzuki,E.,Ozaki,K.,Sone,M.,Hama,H.,Y.,Nose,A.,他: "The GAL4/UAS-WGA system as a powerful tool for tracing Drosophila transsynaptic neural pathways"J.Neurosci.Res.. 59. 94-99 (2000)