1999 Fiscal Year Annual Research Report
人工現実感環境における眼球運動測定と疲労の少ない人工現実感環境の研究
Project/Area Number |
10551004
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
志堂寺 和則 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (50243853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 裕二 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (00315128)
合志 和晃 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (10294901)
松永 勝也 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (10036999)
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Keywords | 人工現実感 / 眼球運動測定 / 注視点 / 立体映像空間 / 輻輳運動 / 疲労 |
Research Abstract |
1)眼球運動計測を通して人工現実感環境の問題を解明するために、頭部搭載型立体映像提示装置に組み込める両眼の眼球運動を計測できる装置を開発した。眼球運動の測定においては、ビデオ画像における瞳孔の中心を計測する方式を採用した。 高い精度で眼位を測定しようとする場合、回転中心を1点としてみなして校正を行うのは正確さを欠くが、実際にはそのことは議論されてこなかった。また、従来は、瞳孔中心測定法による注視点測定は、眼球の移動量と注視点の移動量を、画像上の瞳孔中心の移動量と注視平面上の距離を線形対応させることによって行っていた。 本装置においては、瞳孔中心計測法によって注視点測定を行うために、まず眼位のより正確な表現方法として回転楕円面を導入し、較正により回転楕円面を推定する較正法を導出した。この方法により得られる注視点は、上記方法によって得た眼位で決定される注視線と、注視平面の交点となる。しかし推定注視点は瞳孔中心の軌跡を回転楕円面としても十分でないので、それを補うため、上記交点と注視平面上の実際の注視点との間で線形対応させた。これにより注視点を精度約15分で測定できるようになった。 2)立体映像空間観察時と実空間観察時における両眼眼球運動をHMD搭載型眼球運動測定装置で測定し、両者を比較した。立体映像空間と実空間の眼球運動の違いは、視対象が左右に移動する場合、ほとんど無かった。それに対し視対象が前後に移動する場合では立体映像空間において輻輳運動が見られなかった。また、実空間、立体映像空間の区別無く、利き眼でない眼は視対象に正確に向いていない場合があることが分かった。立体映像空間では立体感を得るのに重要な輻輳運動が無いため立体感の情報が十分で無いと考えられる。その為、立体映像空間では実空間と比べ不完全な情報を使い立体感を得ようとするので、疲労感や違和感、酔いの症状が現れると思われる。
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