1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10554006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
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Keywords | 超冷中性子 / 電気双極子モーメント / 弱相互作用結合定数 / 磁場・磁気モーメント相互作用 / 断熱通過スピン反転 / 磁気減速 / パルス中性子源 / 交替磁場 |
Research Abstract |
超低エネルギー(E_c≦2・10^<-7>eV)の中性子(超冷中性子:UCN)は、物質表面で全反射されるためこれを容器に蓄積し、電気双極子モーメントや弱相互作用結合定数の測定など、基本相互作用に関する重要な実験に用いることができる。しかしこれまでUCNの生成量は少なく、これを利用した実験に大きな制約を与えてきた。そこで本研究では以下のような新しい原理に基づくUCN生成法を実証し、得られる中性子強度の実現可能限界及び要求される諸条件を明らかにしようとしている。すなわち、i)磁場勾配中のZeeman結合から生じる並進力とその向きを制御するためのスピン反転操作を組み合わせて連続的な中性子減速を実現し、かつii)この減速過程を中性子飛行時間に応じて制御することによってエネルギーに関する収束を行い、その結果通常のBoltzma曲法に比べて格段に高い強度のUCNを生成する。 本年度は、まず計算機シミュレーションによって本方法の詳細な検討を行なった。最高磁場4.95T、最低磁場0.59Tの空間交替磁場を実現する超伝導ソレノイドセクションを設計し、米国LANSCEの冷中性子ビームを出発点に想定して、固定減速セクション100段と、スピン反転操作を時間的に断続する可変減速セクション60段を用いた減速過程を数値計算によって評価した結果、種々の損失を考慮しても超冷中性子貯蔵密度2.2×10^3個km^3(現在世界で実現している最高密度の約70倍に相当)が実現可能とわかった。次にプロトタイプとして1段の磁場とスピンフリップによる減速セクションの設計・製作を行なった。常伝導磁石とスピン反転コイル、および高周波発生・制御系の設計・製作およびテストを完了し、現在これを減速検証実験のため京都大学原子炉実験所の中性子タービン出口に設置している。
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