1999 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノクリスタルの永続的ホールバーニングメモリーの研究
Project/Area Number |
10554011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
舛本 泰章 筑波大学, 物理学系, 教授 (60111580)
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Keywords | 量子点 / フォトンエコー / 永続的ホールバーニング / ニ準位系 / CuCl / CuBr / 輝尽発光 / 銅イオントラップ |
Research Abstract |
<量子点中の励起子の均一幅の研究> 永続的ホールバーニングで得られるホールスペクトルとフーリエ変換の関係にある蓄積型フォトンエコーで得られるフォトンエコーの時間波形をCuCl及びCuBr量子点を用いて0.5Kの極低温まで詳しく研究し、量子点中の励起子の均一幅の温度依存症について統一的な知見を得た。NaCl結晶を母体としたCuCl量子点では、均一幅は低温極限で1μeVの細さにも達する。NaCl結晶を母体にした場合もガラスを母体とした場合も極低温領域で重要な位相緩和機構は量子点と母体が構成する二準位系であり、量子点に閉じ込められた励起子の均一幅が母体に影響されるという確証が得られた。またガラスを母体としたCuBr量子点でも、量子点と母体が構成するニ準位系が極低温領域で最重要となることが明らかにされた。6.5nmの半径のCuBr量子点の場合には、低温極限での均一幅は20μeVである。低温極限での均一幅はサイズの逆数に比例しており、励起子の位相緩和に量子ドット表面からの寄与が大きいことが明らかにされた。均一幅が1μeVであると、通常観測される不均一幅30meV中に30,000個のスペクトルホールが記録できることとなり、極めて高密度の多重記録の可能性を示した。 <量子点における輝尽発光の機構> NaCl結晶を母体としたCuCl量子点において、量子点で初めて輝尽発光現象を昨年度発見したことを踏まえて、この現象の機構を研究した。一価のCuイオン(Cu^+)のモノマーやダイマーが試料中に含まれており、これが、正孔(または電子)のトラップとして働き、短波長励起された量子点から放出された正孔(または電子)がCu^+に捉えられCu^<2+>(またはCu^0)を経由して再び、長波長光の照射により量子点に残された電子(または正孔)と再結合発光すると仮説を立てた。実験により、輝尽発光の効率とCu^+ダイマーの濃度が強い正の相関を示すことが示され、この仮説が支持された。
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[Publications] Y.Masumoto: "Persistent Spectral-Hole-Burning in Semiconductor Quantum Dots and its Application to Spectroscopy"Jpn. J. Appl. Phys.. 38・1B. 570-576 (1999)
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[Publications] J.Zhao: "Size dependence of confined acoustic phonons in CuCl nanocrystals"Phys. Rev. B. 60・7. 4481-4484 (1999)
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[Publications] Y.Masumoto: "Photostimulated Iuminescence of CuCl quantum dots in NaCl crystals"Jpn. J. Appl. Phys.. 38・6A/B. L623-L625 (1999)
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[Publications] A.Satake: "Two-dimensional exciton dynamics and gain Formation processes in In_XGa_<1-X>N multiple quantum wells"Phys. Rev. B. 60・24. 16660-16666 (1999)
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[Publications] M.Ikezawa: "Ultranarrow homogeneous broadening of confined exciton in quantum dots depending on their surrounding matrix"To be published in Phys.Rev.B..
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[Publications] Y.Masumoto: "Photostimulated luminescence of quantum dots"To be published in J. Lumin.
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[Publications] 舛本泰章(田沼静一、他編): "半導体微粒子(「メゾスコピック伝導」実験物理化科学シリーズ4)"共立出版. 338 (1999)