Research Abstract |
任意の温度・圧力下における鉱物の構造及び種々物性の計算機シミュレーションの手法としては,エネルギー最小化(WMIN)法,格子動力学(LD)法,分子動力学(MD)法が最近良く用いられている.平成12年度はこれら3方法を,より使用しやすいように整備した。加えて,MgO結晶,MgSiO_3多形(エンスタタイト,メジャーライト,イルメナイト,ペロフスカイト),Mg_2SiO_4多形(オリビン,変型スピネル,スピネル)について,多体相互作用を含んだ高精度な有効原子間ポテンシャルモデルを求めるとともに,WMIN法とMD法を用いて,適用できる汎用的な原子間ポテンシャルをK,Na,Al,Caを含んだ系に拡張することを試みた.即ち,Al,Caを含んだ鉱物として,パイロープ及びグロシュラールガーネットを,K,Na,Alを含んだ鉱物として,アルバイト及びマイクロクリン等を取り上げ,それらの常温常圧下における実測の結晶構造,圧縮率,及び熱膨張率を共に精度良く再現するとの条件用いて,K,Na,Al,Caを含んだ種々ケイ酸塩に適用できる原子間ポテンシャルモデルを求めることに成功した. 非経験的手法として,結晶内の原子核分布を経路積分法によって量子力学的に取り扱い,密度汎関数法に基づく第一原理電子状態計算によって各瞬間の原子間力を求めながら,MD法によって効率的サンプリングを行うための各種プログラムの開発・整備を行った.
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