2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10554045
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 玲子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90186552)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神藤 洋爾 福井大学, 工学部, 教授 (70020229)
|
Keywords | 固体CDスペクトル / 変調偏光分光法 / エナンチオ選択性 / CD分光計 / 固体光反応 |
Research Abstract |
固体状態は溶液とは異なったユニークな性質を示し、特異な反応を行うことが可能である。我々はアキラルな分子が光環化反応でキラル生成物を生じる際に、溶液中ではラセミ体が出来るのに対して、キラルなホスト分子との包摂化結晶中ではエナンチオ選択的に反応が進むことを見つけ、その原因を包接化合物の結晶構造から明らかにしてきた。本年はこの反応をX線構造解析および固体のCDスペクトルにて追跡した。反応途中で結晶格子は乱れれるがふたたび収斂し、1個の単結晶を用いて、反応前と反応後の構造を決定することが出来た。ゲスト分子の構造は新しいC-C結合生成で大きく変わるのに対し、ホスト分子はほとんど不変であった。ホストーゲスト間の水素結合が保たれていた。固体状態のCDスペクトルも等吸収点を示すきれいなものをとることが出来た。さらに、キラルなホストなしで、それ自身でキラルな結晶を作ることに成功し、その光反応も行った。この場合、結晶格子は保たれず、eeは包接化合物の場合と比べると低下した。反応はホストの固い枠組みがある方が良いことが明らかとなった。 巨視的異方性を測定により消去し、artefactのない真のCDスペクトルを得るための固体専用CD測定装置の開発をほぼ完成させることができた。 あまり大きくない単結晶のCD測定のために高品質の石英から集光レンズを作り、固体専用CD分光計に組み込んだ。実際に使用してみると、artefactが少なく、大変に優れたやり方であることが証明された。 光学活性となる原因が分子にはなく固体中での配列による硫酸ニッケルを試料として選び、傾け方でLDの大きさを調整し、LDの大きい場合と小さい場合とで、見かけのCDが真のCDとどのくらいずれるかを確認した。装置の細かな改善点がまだ残っている。今後種々のキラルな固体へ展開していきたい。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] R.Kuroda: "CD Spectra of Solid-State Samples."Chirality.. 12. 269-277 (2000)
-
[Publications] R.Kuroda: "Molecular Chirality Recognized by Achiral Compounds."Supramolecular Chemistry. 60. 1-11 (2000)
-
[Publications] R.Kuroda: "Chiromorphology at the molecular level"Enantiomer. 5. 439-450 (2000)
-
[Publications] K.Umeumra: "AFM Characterization of Single-Strand-Specific Endonuclease Activity on Linear DNA."Nucleic Acids Research. e39 (2000)
-
[Publications] J.Y.Ye: "Atomic Force Microscopy of DNA Molecules Stretched by Spin-coating Technique."Analytical Biochemistry, in the press.. (in press).
-
[Publications] K.Umemura: "Atomic force microscopy of RecA-DNA complexes using a carbon nanotube tip."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 281. 390-395 (2001)
-
[Publications] R.Kuroda: "Circular Dichroism : Principles and Applications,"John Willey & Sons,Inc.. 159-184,563-599 (2000)