1999 Fiscal Year Annual Research Report
二軸制御マイクロインデンテーションによる薄膜付着強度の新規計測手法の確立
Project/Area Number |
10555024
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神谷 庄司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00204628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 和彦 弘前大学, 理工学部, 助教授 (50250676)
坂 真澄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20158918)
梅原 徳次 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70203586)
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Keywords | 薄膜 / 付着強度 / 定量評価 / 界面き裂 / き裂進展抵抗曲線 / 界面破壊じん性 |
Research Abstract |
本研究は、従来の単純な押込み試験から飛躍して、新たに水平方向の変位を独立に制御することのできる試験装置により効率的な界面き裂進展を実現し、薄膜の付着強度評価について新規計測手法を確立することを目的とするものである。最終年度である本年度は、以下の項日に関する研究を行った。 最適負荷経路および圧子形状の決定 前年度に開発した、水平・垂直方向の自由度を持つ二軸押込み装置を用い、基板の変形を最小限に押さえて界面のき裂進展についての力学的情報を精度よく計側するため、負荷形態についての検討を行った。この結果、基板の断面に対して簿膜が若干突出した試験片を作製し、円錐形のダイヤモンドチップを用いて、基板断面に対して水平方向荷重を適宜印加しつつ薄膜裏面を垂直方向に押し上げることが、基板の塑性変形を伴わずに最も効率よく界面のき裂を進展させる方法であることを見出した。 コンピュータシミュレーションによる界面き裂の工ネルギー解放率の評価 前項の負荷形態についてコンピュータによる界面き裂進展のシミュレーションを行った。き裂前縁におけるエネルギー解放率を一定と仮定したシミュレーションにより得られたき製進展抵抗曲線は実験より得られたものと同様の傾向を示し、実験・シミュレーション双方より得られたき裂進展抵抗曲線を一致させるために必要なエネルギー解放率の値として、界面のじん性を決定することに成功した。この手法により、一例として市販のダイヤモンドコート付きカッティングインサート(超硬合金上のダイヤモンド薄膜)の界面のじん性が約14J/m^2であることを見出した。超硬合金上のダイヤモンド薄膜の界面じん性の定量計測は工業上極めて重要であるにもかかわらず世界的に前例がなく、本研究で開発した新規手法の有効性と広範な適用性が改めて確認された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Kamiya (M.Sato,M.Saka and H.Abe): "Residual stress distribution in the direction of the film normal in thin diamond films"Journal of Applied Physics. 86・1. 224-229 (1999)
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[Publications] S.Kamiya (H.Takahashi,M.Saka and H.Abe): "Evaluation and improvement of the adhesive fracture toughness of CVD diamond on silicon substrate"EEP-Vol. 26-1, Advances in Electronic Packaging D. Agonafer et al .ed.. 26・1. 763-767 (1999)
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[Publications] 神谷庄司(高橋博紀、坂真澄、阿部博之): "気相合成ダイヤモンドの結晶構造とその界面破壊じん性に及ぽす影響"日本機械学会1999年度年次大会講演論文集. 99・1. 3-4 (1999)
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[Publications] S.Kamiya (H.Takahashi,A.Kobayashi,M.Saka and H.Abe): "Fracture strength of chemically vapor deposited diamond on the substrate and its relation to the crystalline structure"Diamond and Related Materials. (印刷中). (2000)
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[Publications] N.Umehara (K.Kato,M.Bai and Y.Miyake): "Effect of internal stress of CNx coating on its wear in sliding friction"Surface and Coating Technology. 113. 233-241 (1999)
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[Publications] K.Sasagawa (M.Hasegawa,M.Saka and H.Abe): "Experimental verification of prediction method for electromigration failure of polycrystalline lines"Journal of Applied Physics. (印刷中). (2000)