| Research Abstract |
本研究は,メッキ,拡散,コーティング,その他の表面改質材について,通常および真空環境下において,ピンオンディスク,二円筒,歯車試験機を用いて運転試験し,これらの損傷および表面強さを実験的に明らかにするとともに,損傷面の観察,フラクタル次元解析などにより表面損傷機構を解明する.また,これらの運転試験中の振動,騒音,歯元応力をFFT,ウェーブレット変換などにより解析し,損傷予知・診断技術を確立する.これらの実験,解析結果より,歯面損傷対象として,摩耗,歯面疲労,スコーリングに焦点を絞って,これらに及ぼす環境の影響の解明,表面強さ向上による歯車装置のコンパクト化,歯面損傷予知・診断技術の確立などにより,機械工学に寄与せんとするものである.
本年度においては,歯車,二円筒,ピンオンディスクの各試験機を用いて真空および通常環境下で運転試験を行うための各表面改質試料の設計,製作を行うとともに,一部の運転試験を行い,表面損傷に関する基礎的知見を得ることを主目的とし,実験解析を実施した.表面改質としては,メッキ,拡散に加えて,コーティングおよびショットピーニングを実施し,薄膜硬度計を用いて,これらの表面改質層の機械的性質の評価を行い,接触応力解析に適用した.また,一部の表面改質試料を運転試験し,表面劣化過程の損傷表面の性状,形状測定および解析を行うとともに,歯元動荷重,温度,振動・騒音の測定解析を行い,表面改質試料の耐摩耗性,面圧強さ,焼付き強さを実験的に明かにした.振動・騒音の解析にはウェーブレット変換を適用し,材料による振動・騒音特性の違い,制振性などについて調べ,損傷の予知・診断解析のための基礎的データを得た.
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