1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10555054
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼田 もと宏 九州工業大学, 工学部, 教授 (90039123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正治 新日本製鉄株式会社, 八幡技術研究部, 主任研究員
内野 耕一 新日本製鉄株式会社, 八幡技術研究部, 主幹研究員
松田 健次 九州工業大学, 工学部, 助教授 (40229480)
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Keywords | ダークスポット / き裂 / パーライト鋼 / ベイナイト鋼 / レール / 転がり接触疲労 / トライボロジー |
Research Abstract |
本年度は前年度の実績に立脚して基礎的研究と実用的研究を平行して実施した。前者においては、運動形態は異なるものの、転がり/滑り接触下と滑り接触下で発生する表面き裂の発生機構は本質的に同一であると考え、摺動試験機を用いてき裂の発生原因を追究した。その結果、ぜい性材料で観察された摺動方向に直角に進展する表面き裂はレール鋼や軸受鋼でも発生し、表層には摺動方向に引張りの残留応力が存在することが、ビッカース圧痕き裂の発生やき裂部の隆起から確認された。しかし、転動試験で発生したき裂に対してはこのような手法によって残留引張り応力の存在は確認できなかった。後者においては、前年度において、現行の硬さHv262〜390のパーライト鋼と比べて耐転動疲労特性が優れていると認められた硬さHv276〜456のベイナイト鋼のレール鋼として具備すべき特性付与を検討し、耐表面損傷に優れた新ベイナイト鋼レール(0.15〜0.45%C-Mn-Cr系)を開発した。本レール鋼の開発に当たって明らかにした事項は以下の通りである。(1)ガス圧接時に生成する低融点酸化物の生成を防止し、溶接時の割れを防止するには、窒素、Mg、Al添加が有効である。(2)電気抵抗低減のためには、レール内部を合金添加量の少ない鋼とした二層化,NbとB添加,低窒素-微量B添加およびAlとB添加を利用した高強度化が有効である.(3)溶接継ぎ手部熱影響部の軟化にはNb,V添加が有効である.(4)車輪とのなじみ性は,レール頭表面部をレール母材よりも硬さの低いベイナイト鋼とすることによって改善できる.(5)耐内部疲労損傷性の改善にはVと窒素の添加が有効である。
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