Research Abstract |
本研究の目的は,用途に応じたさまざまな形状の入力装置に,素手で曲げる,ねじる等の直観的な変形操作を加えることにより,コンピュータ中の3次元形状モデルが連動して変形する,3次元形状操作のための受動的力覚インタフェースを実現することである。昨年度までの成果として,可変抵抗発泡ゴムの塊をさまざまな形状に加工し,それを3次元形状測定機で読み取ることにより,目的に応じたさまざまな形状の入力装置を構成することが可能となった。本年度は,さらに以下の研究成果を得た。 (1)CADやCGなどコンピュータで3次元形状を操作する作業を想定,分析し,曲げやねじりなどの形状変形入力のほか,変形の固定/解放などの切替,スケーリング,位置姿勢/視線方向の変更など,必要となる操作をリストアップした。 (2)昨年度までのシステムでは,変形入力は入力装置に対して行なうが,それ以外の操作は入力装置から手を離し,マウスやキーボードで行なう必要があり,操作の効率や直観性の点で問題があることが分かった。そこで,前述の分析に基づき,変形入力およびさまざまな切替,調整,変更など3次元形状の操作を,一つの入力装置に統合することを考案した。 (3)それに基づき,変形を入力する発泡ゴム部,それ以外の操作を行なうボタン,スイッチ,スライドボリュームにより構成される入力装置を設計,製作し,複数の3次元形状操作を統合した直観的入力ツールを試作した。 (4)操作対象となるコンピュータ画面内の立体形状に対する,位置姿勢制御,変形入力などの作業に関して,本研究で試作した入力ツール,従来のマウス・キーボードによるインタフェース,操作が統合されていない本研究の昨年度までのシステムの3つについて,所要操作手数や所要時間に関する定量的な評価を行なった。その結果により,本研究の有効性を検証した。
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