1998 Fiscal Year Annual Research Report
結合三重量子井戸構造を用いた並列光信号処理装置の開発に関する研究
| Project/Area Number |
10555103
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
| Research Institution | Nagoya University |
|---|
Principal Investigator |
澤木 宣彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70023330)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝昌 株式会社デンソー, 基礎研究所, 担当部員(研究職)
安 亨洙 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40303672)
山口 雅史 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20273261)
|
|---|
| Keywords | 結合量子井戸 / 光非線形性 / 光変調 / イメージセンサ / フェムト秒分光 / トンネル効果 / 準位共鳴 / ポンプ・プローブ法 |
|---|
| Research Abstract |
高速性・集積性・高感度が期待されている量子井戸構造を用いた電子・光素子の開発をめざし、結合量子井戸構造における電子準位の共鳴・非共鳴現象あるいはトンネル効果が光学的特性に及ぼす効果を明らかにし、光変調器実用化のために必要な諸元を明らかにすることを目的として、本年度は、特に、非対称結合三重量子井戸構造における光非線形性の増強に必要な構造の最適化のための基礎実験として異なる構造を有する試料の室温における動作特性の解明を行った。
まず、非線形性の増大をはかるために適切と考えられる量子井戸構造の設計を行った。従来の研究では、井戸幅がわずかに異なる三つの量子井戸を積層して三重量子井戸構造としていたが、今年度は幅の広い量子井戸を設け、上位準位における共鳴を利用することを試みた。その結果、前者と同様の強い光非線形性が得られることが分かった。
さらに、素子(構造)の高速応答を評価するためにフェムト秒レーザを用い、光反射スペクトルの時間変化をポンプ-プローブ法を適用して詳細に検討した。その結果、準位の共鳴が起こると思われるポンプ光強度において、2-5ピコ秒という極めて速い緩和型の反射光強度の変化が見いだされた。透過光の実験では減衰時定数は100ピコ秒以上と長いこととは対照的であった。この事実は、三重結合量子井戸構造の光スペクトルの変化には、光の吸収によって生成される電子・正孔対によるブリーチング効果の他に屈折率の変化が影響していることを示唆している。
|
-
[Publications] M.Yamaguchi,: "Delocalization and mobility of electrons at the resonance of ground states in a coupled quantum well structure" Solid State Electronics. 42・7. 1553-1556 (1998)
-
[Publications] M.Katsuno: "Scaling and the negative magneto-resistance in an Si atomic-layer doped GaAs" Solid State Electronics. 42・7. 1557-1560 (1998)
-
[Publications] M.Katsuno: "Magnetotransport study of the intersubband scattering in an Si δ doped GaAs" Semicond.Science & Technol.13・7. 739-745 (1998)
-
[Publications] M.Ishida,: "Computer simulation of tunneling transfer and formation of resonant states in a GaAs/AlGaAs2 dimensional electron gas disk" Jpn.J.Appl.Phys.38・1B. 339-342 (1999)
-
[Publications] 安亨洙: "三重量子井戸構造による光非線形性とその高速応答" 応用物理. 67・11. 1290-1294 (1998)
-
[Publications] N.Sawaki: "Electron tunneling time into a quantum disk" Fourth International symposium on new phenomena in mesoscopic structures(NPMS 98) Kauai,1998. 27-229 (1998)
