1998 Fiscal Year Annual Research Report
極微細半導体素子での基板電流ゆらぎに伴う素子寿命不確定性抑制の研究
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10555115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐野 伸行 筑波大学, 物理工学系, 講師 (90282334)
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Keywords | 衝突イオン化 / MOSFET / モンテカルロ法 / シミュレーション / 半導体デバイス / 素子寿命 / ホットキャリア / 弾道輸送 |
Research Abstract |
本年度は以下の検討を行い、成果を得た: (1) 本研究課題における基板電流ゆらぎは、Siデバイス内での衝突イオン化現象に伴い生じる。そして、電子の衝突イオン化現象はイオン化しきい値エネルギー近傍で強い異方性を示すことが既に知られている。そこで、電子に加えて正孔の挙動も素子特性に関与することから、我々が構築した第一原理計算手法を用いて、Siの正孔に対しての異方的衝突イオン化確率を確定した。その結果、電子と同様な強い異方性が正孔においても存在することを見い出した. (2) デバイス・サイズの微細化に伴い、素子基板濃度の増大が不可避であることから、長距離相互作用を及ぼす電子間クーロン相互作用の極微細デバイスでの重要性が指摘されている。そこで、二次元Si-MOSFET構造のデバイス・シミュレータにこの長距離電子間相互作用を導入するために、モンテカルロ・シミュレータとポアソン方程式を自己無撞着に結合し、シミュレータの拡張を行った。 (3) サブ0.1ミクロン領域の極微細素子での準弾道的電子輸送の影響を明確にするために、単純な1次元(n-i-nダイオード)構造のもとで、自己無撞着モンテカルロ・シミュレーションを行った。そして、極微細デバイス構造特有の新たな高エネルギー電子の存在を見い出した。これは、準弾動的に走行する高エネルギー電子がドレイン領域で緩和する際、ドレインでのフォノン等との散乱によりチャネル領域にキックバックされるため、と考えられる。 尚、本年度に予定していた我々のシミュレータと購入した酸化膜シミュレータとの結合は、酸化膜シミュレータの納入時期の大幅な遅れに伴い、実施を来年度に延期した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Sano,et al.: "Physical Mechanism of Current Fluctuation under Ultra-small Device Structures" Proceedings of International Workshop on Computational Electronics. pp.112-115 (1998)
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[Publications] N.Sano,M.V.Fishetti,S.E.Laux: "Hole-Initiated Impact Ionization and Split-Off Band in Ge,Si,GaAs,InAs,and InGaAs" Proceedings of International Workshop on Computational Electronics. pp.198-201 (1998)
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[Publications] N.Sano,A.Yoshii: "Quantum Kinetic Transport under High Electric Fields" VLSI Design. Vo.6. pp.3-7 (1998)
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[Publications] T.Suematsu,N.Sano,et al.: "An Analysis of the KinkPhenomena in InAlAs/InGaAs HEMT's Using Two Dimensional Device Simulation" IEEE Transaction on Electron Devices. ED-45. 2390-2399 (1998)
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[Publications] 北原義之、佐野伸行、他: "微細デバイスにおける電流ゆらぎシミュレーションのデバイス・サイズ依存性" 電子情報通信学会 信学技報. VLD98-93. pp.53-59 (1998)
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[Publications] K.Natori,N.Sano: "Scaling Limit of Digital Circuits due to Thermal Noise" Journal of Applied Physics. Vol.83. 5019-5024 (1998)