1998 Fiscal Year Annual Research Report
量子効果を積極利用した薄膜SOI MOSFETの性能向上とばらつき低減の研究
Project/Area Number |
10555117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平本 俊郎 東京大学, 大規模集積システム設計教育研究センター, 助教授 (20192718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 隆英 日立製作所, デバイス開発センター, 副技師長
藤島 実 東京大学, 工学系研究科, 講師 (60251352)
桜井 貴康 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (90282590)
柴田 直 東京大学, 工学系研究科, 教授 (00187402)
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Keywords | MOSFET / 量子効果 / 薄膜SOI / 特性ばらつき / 反転層容量 / しきい値電圧 / 二次元閉じこめ / 完全空乏型SOI |
Research Abstract |
本研究は,MOSFETをスケーリングしたときに発生する諸問題を,量子効果を積極的に利用して回避し,さらに特性向上とばらつき低減を達成することである.今年度は,極めて細いチャネルをもつMOSFETにおいて,量子効果によるしきい値電圧の上昇を観測することに成功した.まず,Silicon on Insulator(SOI)基板のシリコン層を熱酸化により薄膜化し,さまざまな膜厚のSOI層を作製した後,そのSOI層にMOSFETを作成した.これらのMOSFETのしきい値電圧は,SOI層の膜厚が10nm程度以下に薄くなるとわずかに上昇することがわかった.一方,量子力学的効果をさらに顕著にするため,膜厚方向だけでなく,横方向にも電子を閉じこめるため,極めてチャネル幅の狭いMOSFETを異方性エッチングを用いて作製した.チャネル幅は5nm程度から100nm程度まで変化させた.このMOSFETのしきい値電圧は,チャネル幅が10nm以下になると急激に上昇することが明らかとなった.これらの実験事実を説明するため,有限要素法を用いて2次元シュレディンガー方程式を解き,チャネル中の電子の基底状態を計算したところ,しきい値電圧の上昇は量子閉じこめ効果による基底準位の上昇が原因であることが明らかとなり,また,実験と計算が良い一致を示すことがわかった.以上により,さいずが10nm以下の極微細MOSFETでは,室温においても量子効果が特性に直接影響を及ぼすことが明らかとなった.
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