2000 Fiscal Year Annual Research Report
高レベル変調高周波電磁界の非熱作用研究を目的とした細胞用曝露装置の開発
Project/Area Number |
10555129
|
Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多氣 昌生 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60145670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲津 正夫 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10201162)
宮越 順二 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70121572)
渡辺 聡一 総務省, 通信総合研究所, 主任研究官
|
Keywords | 高周波電磁界 / 生体影響 / 曝露装置 / 非熱作用 / 変調波 / 細胞 / マイクロ波 |
Research Abstract |
携帯電話機使用時のように、頭部の一部に電磁界が集中した場合には、その部位の温度が上昇しなくても、組織内の電磁界によって生体機能に影響があるのではないかと懸念されている。特に、携帯電話の時分割多重方式などで用いられるパルス変調波には固有の生体作用があるとの報告があり、早急に影響の有無を明らかにする必要がある。本研究は、この目的を達成するために必要な細胞用高周波曝露装置を開発し、曝露条件を定量的に明らかにすることを目的として行われた。最終年度である12年度は、前年度に製作した円形導波管型の曝露装置を実際に生物実験に応用することを中心とした研究を行った。この装置は、直径15cmのシャーレ内の細胞に十分な強度の高周波(2.45GHz)を曝露することができる。また、閉鎖系であるために、外部への電磁界漏洩は非常に小さい。本装置を用いて細胞増殖速度に関する実験を進めた結果、本装置が必要とされる強度の曝露を実現しうること、温度上昇は20W/kgのSARでも0.5℃程度であり、問題がないことが明らかになった。しかし、一方では、長期間の曝露では温度制御用の循環水系の耐久性に問題があり、保守が必要であるという問題点も明らかになった。この経験に基づき、矩形導波管に設けたスリットから、スリット上に配置したシャーレに曝露する方式の新たな装置を開発した。すなわち、導波管内に定在波を発生させて磁界の大きな部位に適切にスリットを設けることで、高効率の曝露が可能なことを示した.この方式は、導波管壁を一定温度に保つことによって温度制御のための冷却水を要しないこと、既存のインキュベータ装置内で使用できるという利点がある。これらの実験装置を用いた細胞生物学実験を行い、開発した曝露装置の有効性を確認し、また今後改善すべき問題点を明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 渡辺聡一: "携帯電話のin vivoばく露装置と動物実験"電子情報通信学会論文誌B. E84-A. 19-28 (2001)
-
[Publications] Kanako Wake: "Analysis of induced currents in a rat exposed to 50 Hz linearly and circularly polarized magnetic fields"Bioelectromagnetics. Vol.21. 354-363 (2000)
-
[Publications] Yoshiaki Watanabe: "FDTD analysis of microwave hearing effect"IEEE Trans.Microwave Theory and Technique. Vol.48. 2126-2132 (2000)
-
[Publications] G-R Ding: "Increase in hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transferase gene mutations by exposure to electric field"Life Sciences. 68. 1041-1046 (2001)
-
[Publications] Masao Taki: "Search for phosphenes induced by exposure to radio-frequency fields with ELF amplitude modulation"Bioelectromagnetics Society 22^<nd> Annual Meeting. 83-84 (2000)
-
[Publications] 丸山祥史: "スリット導波管を用いた細胞用マイクロ波曝露装置"電子情報通信学会技術研究報告 環境電磁工学. (発表予定). (2001)