1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10555176
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 晴行 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70117216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 芳治 京都府立大学, 農学部, 助教授 (70285245)
林 建二郎 防衛大学校, 土木工学科, 助教授
平野 宗夫 九州大学, 大学院・工学研究科, 九州大学名誉教授 (50037850)
山下 三平 九州産業大学, 工学部, 助教授 (50230420)
高濱 淳一郎 岐阜大学, 工学部, 助手 (40303507)
|
Keywords | 樹林帯 / 緑地帯 / 土砂災害 / 土石流 / 土砂流 / 洪水 / 景観 |
Research Abstract |
山麓や渓流沿いに存在する樹林帯は,土砂流出を抑制するなど様々な防災的機能を持つものとして古くより利用されてきた.加えて近年では,豊な自然環境を創造するものとして注目されている.本研究の目的は,災害時における樹林帯の特性スケールと土石流,土砂流などの挙動との関係,樹林帯内における流体力や掃・浮流砂量,樹林帯の景観工学的効果などについて調べることである.得られた結果は以下の通りである. (1)移動床水路において樹林帯を一様に設置し,浮流砂濃度分布を調べる実験を行った.樹木の抗力を考慮した有効摩擦速度を用いると,樹林帯内の浮流砂濃度分布はRouse分布に良く適合することが分かった.また,有効摩擦速度より得られた有効掃流力を用いると通常の掃流砂量式によって掃流砂量が評価されることが分かった. (2)流れに対する樹林帯の強度特性や抵抗則を明らかにするために,円柱群に作用する抗力の直接計測を行った.円柱群内にある単独円柱の抗力係数は,樹林帯密度の増加に伴い大きくなり,一様流中に置かれた単独円柱の抗力係数値より大きくなることを確認した. (3)既往の災害について実態を調査し,土石流等の掃流力,流体力,最大曲げモーメントから樹林の破壊限界を求めた.また,水理模型実験により遊砂地内に存在する樹林の密生度と遊砂地内への土砂の堆積量,侵食量の関係を求めた. (4)1990年熊本県一宮町の土石流災害を対象として,樹林帯のスケールやその配置および地形条件(勾配等)と土石流の挙動との関連性を調べた.そして,得られた知見と従来からの取り組みを参考にして,樹林帯の定量的評価を基礎とした配置計画に関する検討を行った. (5)河畔林・樹林帯が河川の景観的印象に与える効果を明らかにするため,実験水路,人口水辺空間,および実流域河川を対象としたSD法と一対比較法による視覚心理実験を行った.その結果,光と色彩が河川の水量感に与える影響,水面の陰影の河川の好ましさに対する効果,景観の構図と評価との関係等が明らかにされた.
|
-
[Publications] 橋本晴行、高畑 洋、火箱貴文、Kichan Park: "樹林帯を伴う急勾配水路における浮流砂濃度分布に関する研究"水工学論文集. 44(印刷中). (2000)
-
[Publications] 石川芳治、芦田真亜、水原邦夫: "河道に存在する樹林に作用する抗力と密生度に関する実験的研究"平成11年度砂防学会研究発表会概要集. 70-71 (1999)
-
[Publications] Yoshiharu Ishikawa: "Damage to forests by sediment movements and control of sediment movements by forests"Interpraevent 2000 in Villach. (印刷中). (2000)
-
[Publications] 林 建二郎、木村保夫、鈴木正幸、萩原運弘、重村利幸: "湖沼における植生護岸の形成とその効果"海岸工学論文集. 46. 1116-1120 (1999)
-
[Publications] 赤司 登、山下三平、舞弓光雄、松浦謙二、山口悠介: "水面に映る河畔林の陰影と色彩を考慮した河川景観の評価"平成11年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集第2分冊. (印刷中). (2000)