2000 Fiscal Year Annual Research Report
フラッシュオーバー防止のための火災時の室内熱放射特性と材料物性の変化傾向の把握
Project/Area Number |
10555203
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
早坂 洋史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40142195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 好弘 札幌市消防局, 消防科学研究所, 主任研究員
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Keywords | フラッシュオーバー / バックドラフト / 燃焼特性 / 高温顕微鏡 / 木材 / 炭化 |
Research Abstract |
フラッシュオーバーは、重大な被害を及ぼす火災現象として知られている。従来より数多くの研究がなされているにも拘わらず、その発生機構がある程度、把握されているに過ぎない。本研究では、火災初期での「フラッシュオーバー」現象とそれに引き続いて発生した「バックドラフト」現象に着目して、研究を進めようとするものである。つまり、区画内の木材など燃焼物の物性の変化、特に、表面の変化、揮発分の放出時期と成分、炭化の進み具合、燃焼物の内部温度変化傾向や内部発火の可能性などについて、高温化で観測可能な顕微鏡を用いて、詳しく調べる。これらの物性の変化や放出ガス、内部発火などの諸現象と「フラッシュオーバー」との関連性を実験で確認すると共に、シミュレーションでも再現し、消火対策を確立しようとするものである。 平成12年度は、バックドラフトとの関連をも含めて、総合的に検討した。この結果、ゾーンモデルによる発生予測シミュレーション手法を開発した。このモデルでは、一層ゾーンモデルであり、壁の熱分解モデルとアレニウス型発熱速度モデルを取り入れている。このモデルによるシミュレーションの結果、バックドラフト現象をよく説明出来るようになっている。今後は、フラッシュオーバーの実験値との比較検討を行い、フラッシュオーバー現象の理解や予測可能な事を明らかにしていく予定である。現在、開口部噴出火炎とベランダ手すり形状について、模型実験で検討を加えており、これらの実験値とシミュレーションによる比較検討を行う予定である。
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史,橋本好弘,上田孝志: "一層ゾーンモデルによるバックドラフトのシミュレーション"平成12年度日本火災学会研究発表会概要集. 56-59 (2000)
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史: "ゾーンモデルによるバックドラフト発生予測"日本建築学会2000年度大会(東北)学術講演梗概集. 15-16 (2000)
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史,橋本好弘,花園一正: "ゾーンモデルによるバックドラフト発生予測"日本機械学会北海道支部研究報告集. No.73. 151-154 (2000)
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史,橋本好弘,上田孝志: "開口部噴出火災とベランダ手すり形状"第38回燃焼シンポジウム講演論文集. 121-122 (2000)
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史,橋本好弘,上田孝志: "小型区画火災でのバックドラフトと関連諸現象"日本火災学会論文集. No.50-1. 31-39 (2000)
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[Publications] 工藤祐嗣,早坂洋史: "バックドラフトに関する基礎的研究"日本機械学会論文集(B編). Vol.66-648. 2215-2221 (2000)