2000 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト系耐熱鋼の非破壊的余寿命評価法の開発
Project/Area Number |
10555225
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸山 公一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90108465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 勇 石川島播磨重工業(株), 技術研究所材料研究部, 材料評価グループ課長(研究職)
小池 淳一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10261588)
|
Keywords | 高温構造材料 / 高クロム耐熱鋼 / 高温クリープ / マルテンサイトラス組織 / ラス組織の回復 / 非破壊的余寿命評価 / 硬度 |
Research Abstract |
近年,火力発電プラントの高温厚肉部材に,高Cr耐熱鋼が多く使用されている。これらの高温構造部材は,クリープ変形がおきる条件で使われる。本研究は,高Cr耐熱鋼の代表例であるマルテンサイト組織のフェライト系耐熱鋼を対象とし,クリープ条件での非破壊的余寿命評価法の確立と実用化を目的としている。ところで,この種のフェライト鋼は長時間試験条件で,短時間試験結果からの予測より早期に破断する。この早期破断は重大な問題であり,本年度はその原因解明と予知法の検討を中心に研究を行い,以下の結果を得た。 1.高温で焼戻したボイラ用HCM12A鋼では,Laves相析出物を起点として,応力軸に垂直な粒界にキャビティが発生する。このキャビティが連結してき裂となり,脆性破壊する。この材料ではキャビティ生成による延性の低下が早期破壊の原因である。 2.HCM12A鋼の脆性破壊条件では,クリープ中にはラス幅の顕著な増大は起きず,ラス幅の測定よりは,キャビティの発生・成長に基づく寿命評価が有効である。 3.低温焼戻しのタービン用TAT650鋼では,キャビティの発生やそれにともなう脆性破壊ではなく,延性破壊する。この材料ではラス組織の急速な回復が早期破壊の原因である。 4.TAF650鋼ではこれまで提案してきたラス幅測定に基づく寿命評価が有効である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] K.Sawada: "Creep life Assessment of high Chromium Ferritic by Recovery of Martensitic Lath Structure"Key Engineering Materials. 171・174. 19-25 (2000)
-
[Publications] 九島秀昭: "1Cr-0.5Mo鋼のクリープ挙動と長時間クリープ強度に及ぼす組織変化の影響"鉄と鋼. 86・2. 131-137 (2000)
-
[Publications] 佐藤誠: "W含有高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ挙動とサブグレイン組織安定性の相関"日本金属学会誌. 64・5. 371-374 (2000)
-
[Publications] 関口貴子: "熱サイクルによるSi基板上銅薄膜の塑性変形とキャビティ形成"日本金属学会誌. 64・5. 379-382 (2000)
-
[Publications] J.Koike: "Stress-induced Phase Transformation during Superplastic Deformation in Two-phase Ti-Al-Fe alloy"Acta Materialia. 48・9. 2059-2069 (2000)
-
[Publications] K.Maruyama: "Strengthening Mechanisms of Creep Resistant Tempered Martensitic Steel"ISIJ International. 41・6(印刷中). (2000)
-
[Publications] 丸山公一: "金属便覧(5.4.2クリープ変形,5.4.3クリープ破壊)"丸善. 348-358 (2000)