1998 Fiscal Year Annual Research Report
超複合化による強度と耐食性および熱疲労特性に優れたニッケル基合金の試作
Project/Area Number |
10555230
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 寛 日立製作所(株), 日立研究所, 主管研究員
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50293676)
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Keywords | ニッケル基合金 / 高温強度 / 高温耐食性 / 超耐熱合金 |
Research Abstract |
ニッケル基超耐熱合金の高温強度は、その析出強化相であるガンマ-プライム相の体積率が約65%に達するまでは、その体積率に比例して向上することが知られている。一方、耐高温腐食性はガンマ-プライム相体積率が少ないほど良いとされる。このように高温強度と耐腐食性はガンマ-プライム相体積率の観点からは相反する。しかしながら、それら両者を備えたニッケル基超耐熱合金が、環境保全に重要な役割をもつ発電プラントやゴミ処理プラントには必要不可欠である。この研究では、耐火金属元素を多く含むニッケル基超耐熱合金の偏析現象を積極的に利用して、ガンマ-相とガンマ-プライム相の複合組織のさらなる複合化(超複合化)を考え、高温強度、耐高温腐食性、熱疲労特性に優れた合金を得ることを目的としている。初年度では、耐食性に大きく影響を与えると言われているクロムを12%以上含む高クロム含有ニッケル基合金と10%以下の低クロム含有ニッケル基合金について、高温腐食性の実験、凝固温度範囲の測定、その範囲内の温度で保持した合金のミクロ組織の検討を行い、合金組成選定のための基本的知見をえた。さらに熱サイクル試験炉を用いて大気中で熱疲労特性試験の予備評価を行った。得られた結果は以下のとおりである。 (1)示差熱分析の結果、いずれの合金の凝固温度範囲も25K以上あり、凝固温度範囲で十分熱処理が可能であることがわかった。(2)高温腐食実験の結果、必ずしも高クロム含有とする必要のないことが明らかとなった。(3)超複合化材および従来の単結晶材のくさび形試料を用いて、473K〜1273Kの間で100サイクルの熱疲労試験を行った結果、超複合化材では粒界に起因するクラックが認められたが、単結晶材では認められなかった。(4)熱疲労サイクル試験後の表面状態は高クロム含有材の方が良好であった。これらの結果を基に、次年度さらに研究を進める。
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