1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10555277
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Research Institution | UNIVERSITY of TOKYO |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | メソ-テトラフェニルポルフィリン / ナノ多孔性シリケート / ゾルゲール法 / 縮重合・環化反応 |
Research Abstract |
本研究では、ベンズアルデヒドとピロールを縮重合・環化した後,p-クロラニル酸化によりメソ-テトラフェニルポルフィリン(TPP)を合成する反応に関して,ベンズアルデヒドおよびピロールの高濃度溶液(0.1モル濃度)条件下で効率的に縮重合・環化反応を促進できるナノ多孔性シリケート触媒の探索を行った。 ゾル-ゲル法に従って,長鎖アルキルアンモニウム塩,テトラエトキシシラン,トリイソプロポキシアルミニウム,および水酸化アルカリを加えて,種々のアルカリ金属イオンを含むナノ多孔性アルミノシリケートを調製した.このアルミノシリケートはアルカリ金属イオンを含んでいるにもかかわらず強酸性を示し,高濃度溶液条件下でも,TPPを50%を超える収率で合成することに成功した.アルカリ金属イオンの種類によって,高濃度条件下でのTPP収率は大きく変わる.また,アルカリ金属イオンをプロトンに置換すると,TPP収率は大幅に低下することも見出した.TPP骨格を形成する反応は,酸触媒により促進される反応でありながら,プロトンのみを有するナノ多孔性アルミノシリケートよりも,アルカリ金属イオンを含むナノ多孔性アルミノシリケートの方が高い触媒活性を示した実験結果は大変興味深いものである. 通常0.01モル濃度程度の希薄溶液条件下で行われるポルフィリン合成反応を,0.1モル濃度という濃厚溶液で,しかもより高い収率でTPPを与える触媒を開発できたことは,反応媒体の使用量を抑えることが可能となり,グリーンケミストリーの実現に一歩前進したと言える.
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