2000 Fiscal Year Annual Research Report
非特異的モノクローナルIgE抗体によるアレルギーの抑制
Project/Area Number |
10555290
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森谷 恵司 帝人株式会社, 医薬開発研究所, 部長
疋田 正喜 岡山大学, 工学部, 講師 (60228715)
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Keywords | アレルギー / IgE抗体 / ハイブリドーマ / モノクローナル抗体 / RAG遺伝子 / V(D)J再構成 |
Research Abstract |
ある種の寄生虫感染が感染すると大量のIgE抗体が産生されるが、大部分のIgEは寄生虫抗原に反応しない。このようなIgEはB細胞がポリクローナルに活性化された結果、産生されると考えられている。一方、我々は成熟B細胞がこのような刺激を受けると、RAG遺伝子発現とそれに伴う2次的V(D)J再構成が起こることを明らかにしている。そこで、マウスにNippostrongylus brasiliensis(Nb)を感染させたとき誘導される見かけ上のポリクローナルIgE抗体産生が、真にB細胞のポリクローナル活性化の結果かどうかについて解析した。IgE抗体のH鎖遺伝子が末梢でのV(D)J再構成によりどのような影響を受けるか検討するために、抗NP抗体(17.2.25)のVHDJHカセット(VHT)を一方のalleleのJH部位に組み込んだ(QM x B6)F1マウス(以下F1と略称)を用いた。BALB/cにNbを感染させると、2週間後にIgEの血中濃度が100-200mg/mlに上昇したが、Nb抗原特異的IgE抗体はほとんど検出されなかった。一方F1マウスにNbを感染させると、同様にIgE産生が誘導されたが、同様にNb特異的IgEは検出されなかった。F1マウスの脾臓B細胞をLPSで刺激したとき産生されるIgMの80%以上がVHTを保持していたが、Nb感染後に生成するIgE抗体ではこの割合が10%以下に低下していた。IgE産生ハイブリドーマを樹立し解析した結果、調べたすべてのIgEモノクローナル抗体がNb抗原とは反応しなかった。これらの結果はNb感染によって誘導されるIgE抗体の抗原特異性は末梢におけるV(D)J再構成による変化を受けていることを示している。このような非特異的IgE抗体は、アレルギーの抑制に利用できる可能性がある。
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[Publications] 大森斉: "末梢リンパ組織における抗体遺伝子の再構成一抗体遺伝子の構造はどこまで柔軟か?"細胞工学. 19巻3号. 482-487 (2000)
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[Publications] 大森斉: "胚中心における抗体遺伝子再構成とその生理的意義"感染・炎症・免疫. 30巻1号. 64-66 (2000)
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[Publications] Hitoshi Ohmori: "Prevention of collagen-induced arthritis in DBA/1 mice by oral administration of AZ-9,a bacterial polysaccharide"Immunopharmacology. 49巻3号. 325-333 (2000)