2000 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の潜在機能を活用できる新規な培養システムの開発とその特性解明
Project/Area Number |
10555291
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 透 岐阜大学, 工学部, 教授 (60115904)
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助手 (70294436)
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 助教授 (70170628)
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Keywords | 遺伝子組換え麹カビ / 糸状菌 / Aspergillius oryzae / Monascus pilosus / α-グルコシダーゼ / 膜面液体培養 / 培養工学 |
Research Abstract |
本年度は膜面液体培養法を用いて、1)昨年度から行っている遺伝子組換え麹カビによるα-グルコシダーゼの生産及び2)Monascus pilosus kによる紅色色素の生産を取り上げ、培養特性を振盪フラスコ培養法などと比較検討した。1)については、窒素源として有機窒素(炭素源としては2%マルトース)を使用した。Polypepton、Yeast extract、Tryptoneの3種類の窒素源の中ではYeast extractを用いた場合に最大の酵素生成量がみれた。昨年度検討を行った無機窒素源の結果と比較すると、振盪フラスコ培養法では菌体量、酵素生成量、菌体量当たりの比酵素生成量のいずれもが著しく増加した。一方、膜面液体培養法においては菌体量の増加はわずかであったが、生成酵素量と比酵素生成量共に2〜3倍程度に増加した。振盪フラスコ培養法に比較して膜面液体培養法による高い酵素生産性の理由を酸素供給、酵素の分泌性、及びmRNAレベルの3つの観点から考察を行った。酸素供給については振盪フラスコ培養において、振盪速度とフラスコ/培地量の比によりkLaを種々変化させて実験を行ったが、菌体量と酵素生成量共に殆ど変化しなかった。酵素の分泌性に関しては、菌体内と培養液中の酵素濃度の比に基づいて評価したが、振盪フラスコ培養法では、菌体内の酵素濃度の割り合いが培養液中よりも著しく高い値を示した。mRNAレベルも膜面液体培養法で培養された菌体の方が高い値を示した。Monascus pilosus kによる紅色色素の生産については、菌体量には殆ど差はないものの色素生成量は膜面液体培養法の方が高い値を示した。この理由を明らかにするために、培地組成、pH、酸素供給、菌体が付着できる足場の存在の有無などの観点から検討した。この場合も酸素供給の影響は殆どなく、菌糸の足場が存在する上で静置培養することが色素生産にとって有利であることが示された。
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