1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10555296
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 恒樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10001942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 均 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00175324)
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Keywords | 熱イオン放出 / 固体電解質 / イオン導電体 / イオン源 / ゼオライト |
Research Abstract |
ゼオライトやβ-アルミナなど,無機固体電解質として働くセラミックスの加熱によって伝導イオンが固体表面から気相あるいは真空中に放出されることを利用した,大気中で動作するイオン発生源を開発すべく,昨年度に完成した実験装置を用い,固体電解質中でのイオンの易動度およびイオン濃度と気相へのイオン放出強度との関係を調べた。その結果以下の事実が明らかとなった。 (1)気相へのイオン放出強度は,他のイオンの配置を変えることなく固体表面から気相中に1個のイオンを移すのに必要なエネルギー(垂直イオン放出エネルギー)のみならず,固体内での伝導イオンの濃度および移動度にも依存する。固体内での伝導イオンの易動度が高く,濃度も高いと,放出イオンの移動に伴って生じる電場変化が伝導イオンのすみやかな再配向によって緩和されるため,放出イオンと固体表面上の対イオンとの間のクーロン引力が弱まる。このため垂直イオン放出エネルギーが大きいイオンでも,固体内濃度と易動度が高ければ,固体表面から放出され易くなる。 (2)固体電解質に塩を含浸させると,伝導イオンと逆の電荷をもつ対イオンを放出させることができる。これは逆電荷の放出に伴って生じた電場の歪みが伝導イオンの再配向によって緩和されるからである。
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