1998 Fiscal Year Annual Research Report
バナジウム基酸化物薄膜のリチウム挿入特性と薄膜電池への応用
Project/Area Number |
10555299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比野 光宏 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20270910)
宮山 勝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20134497)
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Keywords | 金属バナジウム / 金属タングステン / キセロゲル薄膜 / 過酸化水素水 / ランダム層状構造 / リチウム挿入・引き抜き挙動 / 拡散係数 |
Research Abstract |
酸化バナジウム基キセロゲル薄膜の形成方法について研究するとともに、薄膜リチウム二次電池の正極材料としての基礎特性を評価した。 (1) 金属バナジウムに所定量の金属モリブデンを混合した粉末に過酸化水素水溶液を反応させて得られる溶液を、基板上に回転塗布あるいはキャストすることにより、酸化バナジウム(V205)一酸化モリブデン(Mo03)系の非品質キセロゲル薄膜を形成できるすることを見出した。特に、モリブデンを10モル%含むV1-xMox02-x/2・nH20(x=0.1)キセロゲルでは、0.05-50mmという広い膜厚の範囲でクラックやピンホールのない均質な膜を作成できた。X線回折によると、この膜はバナジウム単身のものと同様、ランダム層状構造をとり、各層は基板面に平行に配向している。層間の水は熱処理により減少するが、層間距離は150℃まではほぼ一定に保たれる。200℃では水を完全に失い結晶化する。 (2) モリブデンを10%含む膜の電気化学的なリチウムの挿入・引き抜き挙動を、25℃恒温の3電極セルを用い、過塩素酸リチウム/プロピレンカーボネート系有機電解液中で調べた。種々の温度で熱処理した膜のリチウム挿入容量(x=Li/(V+Mo)モル比)を測定した結果、150℃において最大値約1.0 (250Ah/kgに相当)を示すことがわかった。充電、つまり引き抜き容量もこれとほぼ等しく充放電の可逆性も確かめられた。 (3) 膜厚、電流密度および容量の関係を調べた結果、電流密度が50mA/cm2以下では、容量は膜厚の増加とともに比例的に増加し理論容量を実現することを確かめた。電流密度が大きくなると比例線より下方にずれるが、膜中のリチウムの拡散係数を2x10-11cm2/sとして計算される関係とよい一致を示した。
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Research Products
(1 results)