1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10555317
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
園田 昇 関西大学, 工学部, 教授 (20083983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 豊 関西大学, 工学部, 助教授 (30180665)
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Keywords | 一酸化炭素 / セレン / ニトロ化合物 / インドール / ナイトレン |
Research Abstract |
一酸化炭素の高効率的利用法の開発は有機合成化学および有機工業化学における最も重要な研究課題の一つである。一方、不安定化学種は、有機合成化学における有用な合成手法を与える反応種として多くの研究がなされている。しかし不安定化学種の発生法が極めて限定され、さらにその高い反応性のため反応の制御が困難である場合も多く、効率良く不安定化学種を有機合成に利用した例は比較的限られている。そこで本研究では一酸化炭素-へテロ原子化合物反応系を不安定化学種の新規発生法の一つとしてとらえ、種々の有機化合物を共存させ反応を行うことで、不安定化学種の新規発生法としての一酸化炭素-へテロ原子化合物反応系の利用の可能性を探ると共に、本方法で発生させた不安定化学種をkey speciesとする新規合成反応の開拓を目的として検討した。その結果、三級アミン存在下、セレンを触媒とし、o-ニトロスチルベンと一酸化炭素の反応を行うと、工業的にも有用な化合物であるインドール誘導体が収率良く得られ、また種々の置換基を有するインドールの合成にも応用可能であることから、インドールの新しい合成法として利用可能であることを明らかとした。またこの反応は、一酸化炭素とセレンが反応することで系中で生成したセレン化カルボニルが還元剤となり、ニトロ基を還元しナイトレン(ナイトレノイド)種を与え、その後ナイトレンがオルト位に存在するsp2炭素-水素結合に効率良く挿入を起こし、インドールを生成したものと考えられることより、ニトロベンゼンと一酸化炭素とセレンの反応がナイトレンの新規発生法としての利用も可能となるものと考えられる。
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