1998 Fiscal Year Annual Research Report
ペンタフルオロフェニル基をもつ光学活性化合物の合成-その高次構造と機能の解明
Project/Area Number |
10555321
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇高 正徳 岡山大学, 工学部, 教授 (30033153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南井 正好 住友化学工業(株), 有機合成研究所, 主席研究員
依馬 正 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20263626)
酒井 貴志 岡山大学, 工学部, 助教授 (00170556)
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Keywords | フッ素 / リパーゼ / 分子間相互作用 / 光学分割 / パン酵母 |
Research Abstract |
本研究は、ペンタフルオロフェニル基特有の性質である1)電子吸引効果,2)電子欠損なベンゼン環部と適当な電子供与体との分子間相互作用による分子の集合による高次構造の構築を利用した新規な物性、反応性をもつ化合物の開発をめざすものである。 1. ペタフルオロフェニル基を有する光学活性化合物のリパーゼを利用した合成 いくつかのペンタフルオロフェニル基を有するキラルアルコールをラセミ体で合成し、リパーゼを触媒とする速度論的光学分割によりその光学活性体を調製した。各化合物に関して、リパーゼの種類、溶媒効果、温度等を変えて反応条件の最適化を行い、高い光学純度の目的物を得た。その中でも、2-acyloxy-2-(pentafluorophenyl)acetonitrileに関しては興味深い結果が得られた。この化合物をナプロキセンエステルへ変換後に結晶化しX-線結晶構造解析を行ったところ、リパーゼ反応で優先的に反応する方のエナンチオマーは(S)体であり、良く知られた経験則に従うことが明らかになった。更に、結晶状態では、ペンタフルオロフェニル基と隣接する分子のナフチル基がface-to-faceでスタッキングし、カラム状に超分子集積体を形成していた。今後、本研究課題を推進する上で有益な情報が得られた。また、得られた光学活性体から数段階でtrans-1,2-bis(pentafluorophenyl)ethanediolへ誘導した。今後、不斉配位子としての機能を調査する予定である。 2.ペンタフルオロフェニル基を有する光学活性化合物のパン酵母を利用した合成 いくつかのペンタフルオロフェニル基を有するキラルアルコールを、対応するケトンからのパン酵母還元によって合成した。中でも、2',3',4',5',6'-pentafluoroacetophenoneとその1-クロロ体及びl-フェニルスルフォニル体を還元したところ、それぞれ(S),(R),(R)体のアルコール体が97%ee以上の光学純度で得られた。 3. ペンタフルオロウェニル基を有する不斉発色試薬の設計と合成 ゲスト分子のキラリティを色の変化で検出できるような試薬を設計した。現在合成中である。
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Research Products
(1 results)