1998 Fiscal Year Annual Research Report
構造分極をもつ高分子積層薄膜の開発とその光誘起光学材料への応用
Project/Area Number |
10555330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50127049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 茂 日東電工(株), 基幹技術センター, 主幹研究員
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 助手 (50301239)
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Keywords | 高分子 / 積層薄 / 分極 / ナノ構造 / 光誘起光学効果 / 吸着 / 非線形色素 |
Research Abstract |
電子やホールをもつ材料を用いて空間的な構造を作ると、大きな局所内部電場が発生する。本研究では、電子受容性の基と電子供与性の基との間で起こる電荷移動相互作用を利用して、高分子交互積層薄膜を作製することを試みた。さらにこの微細積層構造作製技術の確立と、局所内部電場を利用した光機能材料への展開を目指して研究をすすめた。1)交互吸着法により得られる積層薄膜のナノ構造制御技術の確立。カルバゾール、ジニトロベンゾエートを、電子供与性基、電子受容性基として側鎖にもつMMA系高分子が、電荷移動による交互吸着膜を形成することを見出した。これらの多層膜上への次層の吸着速度や膜厚変化を検討した結果、浸せき時間や溶液濃度により膜厚が制御できることを示した。また各層間に電荷移動層が形成され、これらの膜の光励起により電荷移動が起こり局所内部分極が発生することが予測された。2)交互積層薄膜と非線形光学色素とのハイブリッド化上述の交互吸着膜の内部に、非線形光学色素のドーピングを試み、一定の濃度で色素導入ができることを示すとともに、得られた膜には非線形光学効果が現れることを確認した。また、非線形光学色素をもつモノマーとその高分子を合成するとともに、電子供与性基をもつモノマーと非線形光学色素をもつモノマーとの共重合体を合成し、吸着膜を作製できる組成範囲を決定した。3)電気光学効果および光誘起光学効果の検証交互吸着膜において非線形光学効果が現れる原因を明確にするため、基板表面効果、層数依存性を調べ、吸着膜内部で色素が配向して導入される機構を探求した。
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