1999 Fiscal Year Annual Research Report
メロンの「うるみ果」発生に伴う細胞壁成分の変化及び発生防止に関する研究
Project/Area Number |
10556006
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西澤 隆 山形大学, 農学部, 助教授 (10208176)
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Keywords | うるみ果 / メロン / 細胞壁 / 発酵 / ペクチン / 中性糖 / 軟化 / カルシウム |
Research Abstract |
メロン'アンデス'を供試し,果実の嫌気的条件および植物体全体へのカルシウムの散布がメロン果実の貯蔵性および「うるみ果」発生に及ぼす影響を調査し,以下の知見を得た. 1.果実肥大期に植物体全体にカルシウムを施用する事により,対照区に比べ収穫後の果実の貯蔵性が改善されたものの,貯蔵中における果肉硬度の急激な低下は抑制されなかった. 2.果実肥大期に短期間果実を窒素処理することにより,果実内は嫌気状態となり,対照区に比べアセトアルデヒドおよびエタノール含量が大きく増加したことから,肥大途中のメロン果実は,果皮表面からのガス交換を抑制しただけでも果実内で発酵現象が起こることが確認された.一方で果肉組織におけるペクチンやヘミセルロースおよびペクチンの側鎖中性糖含量は,窒素処理により対照区よりも高く維持され,果肉硬度も対照区に比べ高く維持された.これらの結果は,メロン果実ではペクチンや側鎖中性糖などの細胞壁成分が保持されることにより,果肉硬度が維持されることを示唆している.一方,窒素処理により果肉に顕著な発酵現象が認められたにも関わらず,果肉硬度は低下せず,顕著な「うるみ果」の発生も認められなかったことから,メロンにおける「うるみ果」の発生には,必ずしも嫌気的な状態による発酵が直接的な原因として作用しているわけではないものと推察された. 上記の結果は,メロンにおける「うるみ果」の抑制にはカルシウムの施用が有効であること,また,「うるみ果」と「発酵果」とは必ずしも同一の生理障害とは考えにくいことを示唆している.
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[Publications] Nishizawa T., A.Ito, Y.Motomura, M.Ito and M.Togashi: "Changes in fruit quality as influenced by shading in netted melon plants (Cucumis melo L. cvs. Andesu and Luster)."J. Japan. Soc. Hort. Sci.. Vol.69(5)(in press). (2000)