2000 Fiscal Year Annual Research Report
生物資源由来物質による植物免疫の誘導とその病害防除への応用試験
Project/Area Number |
10556010
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
道家 紀志 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80023472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 博文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30240245)
川北 一人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90186065)
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Keywords | 植物免疫誘導 / 全身的オキシダティブバースト / サリチル酸 / 全身的シグナル伝達 / 全身免疫誘導因子 / カルシウムインフラックス / 防御応答遺伝子 / 全身獲得抵抗性 |
Research Abstract |
3年計画の最終年度の課題として、全身的免疫誘導資材の認識系と非認識系を介した全身的オキシダティブバースト(OXB)誘導剤が発信するシステミックシグナルの発信機構と、細胞間を伝達する機構、全身的免疫誘導に関連する発現遺伝子のクローニングと特性解析および本研究で確立してきた免疫誘導因子の第一次スクリーニング法を用いて、生物資源由来の免疫誘導候補因子の検索を行い、次の成果を得た。1.前年度までには、認識系を経てOXBを誘導するエリシターの全身シグナル発信には過酸化水素が作用因子であることを示したが、これに加えて、サリチル酸や植物免疫誘導剤として実用化されているBTHが、その下流でOXB応答能を活性化していない組織を刺激し信号を発信することを明らかにし、いずれの信号発信過程にも細胞内へのカルシウムインフラクス、タンパク質リン酸化過程を含むことを示唆した。2.信号発信をうけて起動する細胞間シグナル伝達には、カルシウムインフラクスの細胞間連鎖反応があることを、Fluo-3のカルシウム蛍光インジケーターとpH蛍光インジケーターを用いた経時的観察で示した。3)OXB応答能がない新鮮切断組織への刺激でも全身シグナル発信作用をもつサリチル酸の作用は、OXBの発生時に、サリチル酸に類似した機能をもつ生体成分が活性化または生産される可能性を示唆した。4.全身的OXBの誘導活性を指標とした免疫誘導活性成分の検定マニュアルを確立し、これを利用し、16科26種の植物の茎、葉、鱗茎、根などからメタノール抽出物の水溶性および脂溶性画分を検定にかけ、特定の科の植物種に強い活性成分があることを把握し、疫病菌に対する実際の免疫誘導活性の存在を確認した。5.ジャガイモ塊茎ディスクを用いた全身的OXB誘導系で、エリシター刺激により処理面および全身的OXBの発生の場で発現する遺伝子をディファレンシャルディスプレー法でクローニングし、応答発現マーカーとして数種の遺伝子を確定した。
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Research Products
(1 results)