1999 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化阻害活性を指標とした海洋付着生物防除化合物の探索と実用化
Project/Area Number |
10556025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 寛道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60134508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 徹夫 ケイアイ化成株式会社, 研究開発部, 部長(研究職)
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Keywords | フジツボ / タテジマフジツボ / 付着生物 / 炭酸脱水酵素 / 石灰化 / 酵素阻害剤 / 放線菌 / スクリーニング |
Research Abstract |
船底や魚網に付着する海洋生物を防除するためにこれまでに主に使用されてきた有機スズ化合物は,環境汚染の問題や内分泌撹乱物質の可能性があることなどから,日本では使用が制限されており,その代替化合物が切望されている。本研究は,そのような目的にかなう代替化合物を天然有機化合物に求め,代表的付着生物であるフジツボを選び,その殻の石灰化に関与していると考えられている炭酸脱水酵素に対する阻害活性を指標にしてスクリーニングを行った。まず,阻害活性の検定系を確立した。次に,土壌から分離したカビ約300株および放線菌100株について活性を調べた結果,放線菌の1菌株の培養上清に阻害活性を認めた。本活性物質は予備実験の結果から,水溶性の低分子酸性化合物と推定された。そこで,約3リットルの培養ろ液を出発にして,これをHP-20カラムにかけ,その非吸着画分をDowex-50陽イオン交換カラムにかけたところ,活性は非吸着区に回収された。これをDow-1カラムにかけたところ,活性は吸着され,0.5M酢酸で溶出された。これを凍結乾燥後,Sep-Pakにかけたところ,活性は非吸着区に回収された。現在,この活性画分についてゲルろ過およびジメチルアミノカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによる精製を検討している。予備実験の結果,後者には吸着され回収もよいので,一気に精製度が上がるのではないかと期待している。これまで,炭酸脱水酵素阻害剤は合成品しか報告がないことから,新規化合物の可能性が高いと考えている。一方,フジツボの炭酸脱水酵素の性質を調べており,精製のための予備実験をしているところである。
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