変異酵母を利用するダイズタンパク質の分泌生産システムの構築と食品利用化

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10556030
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 内海 成 京都大学, 食糧化学研究所, 教授 (40111976)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 丸山 伸之 京都大学, 食糧化学研究所, 助手 (90303908) ; 安達 基泰 京都大学, 食糧化学研究所, 助手 (60293958) ; 竹川 薫 香川大学, 農学部, 助教授 (50197282) ; 広塚 元彦 株式会社 不二製油, 新素材研究所, 室長
• Keywords: ダイズタンパク質 / グリシニン / コングリシニン / 分泌生産 / 出芽酵母 / 分裂酵母 / カルボキシペプチダーゼY

Research Abstract

低温脱脂ダイズは、残油脂中の不飽和脂肪酸の酸化による品質劣化の問題がある。ところがダイズタンパク質はヒト血清コレステロール値低下機能を持っており、高齢化が深刻な問題となっている現在、品質劣化の心配のないダイズタンパク質を開発する技術の開発が望まれている。酵母でダイズタンパク質を発現させると液胞へと運ばれる。そこで、液胞へのソーティング機構を解析するとともに、その機構に変異を持つ酵母を利用することによって、ダイズタンパク質の分泌生産システムの構築を進めている。
1)ダイズタンパク質の液胞ソーティングシグナルの解析:ダイズグリシニンの全域(476残基)、N末端側330残基、N末端側170残基と緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を作出し、これらの分裂酵母における局在性を解析した。その結果、N末端から170残基と330残基の間に液胞への局在が変更する領域があることが判明した。また、植物と酵母でシグナルに違いがあるのかどうかを解析するための遺伝子コンストラクトを構築し、アラビドプシスに導入した。現在、形質転換体が得られつつある。一方、グリシニンと同様の構造的特徴を持つコア領域に加えて、そのN末端側にプロ領域とエクステンション領域を持つコングリシニンのα'サブユニットに関して、ソーティングシグナルの存在領域をアラビドプシスを用いて免疫電子顕微鏡で解析した。その結果、ソーティングシグナルは、コア領域に存在することが判明した。したがって、グリシニンとコングリシニンのソーティングシグナルは類似している可能性がある。
2)酵母におけるダイズタンパク質の分泌発現:液胞輸送機構に変異を持つ酵母におけるグリシニンの発現挙動を解析したが、これまでのところ分泌を行う変異酵母は見つかってはいない。さらに解析を進めていく。