2000 Fiscal Year Annual Research Report
炊飯米のフレーバー徐放制御のためのライスフレーバー粉末の開発
Project/Area Number |
10556031
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉井 英文 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60174885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊見 昭 栗本鉄工所(株), 混練事業部, 部長
尾崎 雄一 佐竹製作所(株), 技術本部科学研究課, 係長
古田 武 鳥取大学, 工学部, 教授 (10026164)
|
Keywords | フレーバー / シクロデキストリン / 噴霧乾燥 / 乳化フレーバー / ライスフレーバー / 徐放 |
Research Abstract |
水溶性フレーバーは、親油性フレーバーに比較して粉末化が難しく、食品へのフレーバー添加が技術的に難しいのが現状である。本研究では、水溶性フレーバーを乳化剤アラビアガム、シクロデキストリン(CD)を用いて、乳化フレーバー粉末、フレーバー包接CD粉末、乳化フレーバー及びフレーバー包接CD粉末の複合粉末の噴霧乾燥による作成、及びフレーバー徐放特性について粉末特性の緩和現象として解析を検討した。本研究では、CD包接乳化フレーバー粉末の、恒温恒湿下でのフレーバー徐放特性、及び湯浴中で沸騰加熱中でのフレーバー徐放特性を調べ、フレーバー残留率の高いフレーバー粉末作成手法の開発を行うため、1)乾燥法によりフレーバーCD包接粉体を作成し、粉末作成時の残留率向上、2)恒湿下でのフレーバー徐放特性、3)フレーバー粉体の熱水中でのフレーバー徐放挙動、4)作成した粉末の炊飯時のフレーバー残留率の項目について検討した。 噴霧乾燥粉末のフレーバー残留特性について検討した結果、CDのみを賦形剤として用いた場合、リモネン、カプロン酸エチルとも過剰フレーバーを添加してもCDに対して約0.8molしか包接されず、残留率も約0.5であった。CDにより包接複合体を作成した後、GAまたはMDにより被膜形成を行った場合、CD10%GA20%粉体及びGA10%MD10%粉体は、リモネンの場合残留率がほぼ1で、CD10%GA10%MD10%粉体は0.8であった。カプロン酸エチルの場合、GA10%MD10%粉体、CD10%GA10%MD10%粉体の残留率は0.5に対して、GAにより被膜形成を行わせた場合のCD10%GA20%粉体は残留率が0.8と著しく増加した。 熱水中でのフレーバー徐放挙動は、粉末作成手法に関わらずリモネン、カプロン酸エチル粉末のフレーバー残留率をAvramiの式で表すことができた。 徐放60分後のフレーバー残留率は、リモネン粉末の場合約70%であるのに対して、カプロン酸エチル粉末の場合約30%であった。リモネンのほうが残留性に優れていることがわかった。炊飯後のフレーバー残留量はフレーバー添加量に対して相関することができた。このことより、フレーバー残留量は粉末組成に関係なく、フレーバー添加量に依存することがわかった。粉末添加量を増やすと、フレーバー残留量も増加し、フレーバー包括量が多い粉末ほど残留量が多いことがわかった。
|
-
[Publications] X-D.Liu,Furuta,H.Yoshii,P.Linko and W.J.Coumans: "Cyclodextrin encapsulation to prevent the loss of 1-menrhol and its retention during drying."Biosci.Biotech.Biochem.. 64・8. 1608-1613 (2000)
-
[Publications] X-D.Liu,T.Furuta,H.Yoshii,and P. Linko: "Retention of emulsified flavor in a single droplet during drying"Food Sci.Technol.Res.. 6. 335-339 (2000)
-
[Publications] H.Yoshii,T.Furuta,Jun Kudo and Pekka Linko: "Crystal transformation from anhydrous α-maltose to hydrous β-maltose and from anhydrous trehalose to hydrous trehalose."Biosci.Biotech.Biochem.. 64・6. 1147-1152 (2000)
-
[Publications] H.Yoshii,T.Furuta,E.Okita,A.Toyomi,Y.Linko and P.Linko: "The Increased effect of kneading on the formation of inclusion complexes between d-limonene and β-Cyclodextrin at Low Water content."Biosci.Biotech.Biochem.. 62・3. 464-468 (1998)
-
[Publications] 吉井英文,古田武: "食品とガラス化・結晶化技術"サイエンス フォーラム(株). 133-141 (2000)