1998 Fiscal Year Annual Research Report
産卵規制物質を利用したマツ材線虫病の新防除技術の開発
Project/Area Number |
10556033
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富樫 一巳 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30237060)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 計一 広島大学, 総合科学部, 教授 (00238809)
|
Keywords | マツノマダラカミキリ / 産卵 / 産卵規制物質 / フラス / 受精襄腺 |
Research Abstract |
マツノマダラカミキリはマツ樹皮内に卵を産み込む。この時樹皮に出来る孔を産卵痕と呼ぶ。産卵後,雌は産卵管からゼリー状の物質を分泌して,それを孔内に置く。アカマツ小丸太に疑似産卵痕を作ると,雌はそれに産卵する。ところが,それに雌の分泌したゼリー状物質を置いたところ,雌は対照と比較して有意に産卵を忌避した。解剖の結果,雌は長い受精嚢腺を持つことがわかった。雌が生きている場合,受精嚢腺は流動性のある,無色〜淡黄色の透明の液体で満たされていた。しかし,雌が死亡してから24時間以内の場合,受精嚢腺は,弾力のあるゼリー状で,琥珀色の透明な物質で満たされていた。この物質は産卵後に雌が分泌するゼリー状物質に酷似していた。受精嚢腺のメタノール抽出物0.4頭等量を1mm×1mmの濾紙に含ませ,疑似産卵痕に詰めた。その結果,対照に比べてメタノール抽出物は有意に産卵を抑制した。受精嚢腺以外の生殖器官のメタノール抽出物も雌に対して同じ効果を示した。切片の観察によると,受精嚢腺内の物質は,それに続く交尾嚢内にも存在していた。これらのことから,受精嚢腺が産卵規制物質の分泌器官であると判断された。一方,幼虫のクラスのエタノール抽出物をマツ小丸太に1.5g等量塗布したところ,対照に比較して,有意な産卵規制が認められた。現在,凍結乾燥器による前処理を行いながら,産卵規制物質の単離を行っているところである。
|