1998 Fiscal Year Annual Research Report
固定化培養細胞を用いた生理活性物質の生産に関する研究
Project/Area Number |
10556039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橘 燦郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (10112319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 実 大阪有機化学工業株式会社, 研究部, 主任
伊藤 和貴 愛媛大学, 農学部, 助教授 (50253323)
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Keywords | 固定化細胞 / キャラボク / 組織・培養 / タキソール / ペスタロチア菌 / 10-デアセチルバカチンIII / イチョウ / ギンゴリド |
Research Abstract |
キャラボク,イチョウの固定化細胞培養によるタキソール,ギンゴリドの生産、及びキャラボク内樹皮から単離したPestalotia菌によるタキサン類の生産について検討した。 1 キャラボクから誘導したカルスからの培養細胞をアルギン酸で固定化した。固定化細胞を培養すると培養液中に連続的(3週間の間)にタキソールを放出した。その量は0.3〜0.5mg/Lであり、細胞中の約50〜80%が培地中へ放出された。エリシター,生合成前駆体等の添加によるタキソールの放出量の増加法については検討中である。しかし、タキソールの生合成前駆体10-デアセチルバカチンIIIは細胞内では生産(2mg/g乾細胞重)されたが、細胞外へは放出されなかった。 2 キャラボクからの固定化細胞を自製のバイオリアクターにつめ、タキソールの生産を試みた。タキソールは培地中に放出されたが、その量は少なかった。タキソールの培地中への放出量を増加させるため、種々の方法を検討中である。 3 キャラボク内樹皮から単離した一種のPestalotia菌がタキサン類の一種,10-デアセチルバカチンIII(タキソール生合成の前駆体)を生産(35〜55μg/L)することを初めて見出した。この化合物はタキソールの半合成法の出発原料としても重要な化合物である。この菌の培養によるこの化合物の生産量を増加させる方法を種々検討している。 4 イチョウのカルスからの誘導したカルスからの培養細胞をアルギン酸で固定化した固定化細胞培養により、培地中にギンゴリドが放出されることを見出した。その量は約10〜25μg/Lであり、細胞中の約20%が細胞外に放出された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 伊藤和貴: "イチョウ葉のカルス培養によるギンゴリドの生産の試み" 木材学会誌. 44・1. 1-8 (1998)
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[Publications] 村中俊夫: "キャラボクの細胞懸獨培養によるタキソール生産の試み" 第48回 日本木材学会大会研究発表要旨集. 25 (1998)
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[Publications] 有田友広: "キャラボクの固定化細胞による抗ガン性物質Taxolの生産の試み" 第48回 日本木材学会大会研究発表要旨集. 547 (1998)
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[Publications] 村中俊夫: "イチイ属樹木の抽出成分の有効利用(第1報)" 木材学会誌. 45・1. 42-50 (1999)