1998 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌の機能解析・機能強化による次世代対応型化学兵器分解除去技術の開発
Project/Area Number |
10556040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
割石 博之 九州大学, 農学部, 助教授 (50253513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 誠司 コスモ総合研究所, 環境技術課, 研究員
堀田 康司 コスモ総合研究所, 環境技術課, 研究員
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究科, 助教授 (10211921)
三木 健良 九州大学, 薬学部, 助教授 (40037586)
田中 浩雄 九州大学, 農学部, 教授 (20038243)
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Keywords | 担子菌 / 中国遺棄化学兵器 / イペリット / マスタードガス / 微生物分解 / チオエーテル / チオジグリコール / 化学兵器禁止条約 |
Research Abstract |
世界各地に放置されているイぺリット(マスタードガス)の安全かつ迅速な分解除去法の開発を行っている。イペリットは毒ガスと称されているが、不揮発性(b.p.217℃)油状物質であり、びらん性で致死性の低い化学兵器である。 イペリットの製造および使用許可が得られたことから、イペリットを化学合成し、担子菌による分解を試みた。イペリットは培地中で、迅速に加水分解を受け、初発の中間体としてチオジグリコールが蓄積した。このチオジグリコールが担子菌により分解されることは既に報告済みである。そこで、微生物処理の効率を上げるため、チオジグリコール分解の最適化を試みた。種々の培養条件の検討から、界面活性剤添加の効果が大きいことを見出した。不飽和脂肪酸エステルであるTween80の添加により、チオジグリコール分解速度を5倍程度上げることに成功した。この効果が、チオジグリコール取り込み効率の向上によるのか、脂質酸化による活性酸素種の生成によるものなのかについて、現在検討中である。 また、チオジグリコールの詳細な分解経路を決定した。鍵反応はチオエーテル結合の開裂であった。チオエーテルの開裂により、グリセロールとメルカプトエタノールが生成し、これらが速やかに無機化されることが判明した。即ち、イペリットの完全分解における律速段階が、チオエーテルの開裂であることが明らかになった。 本研究では、さらにこの代謝の分子機構の詳細を明らかにし、有機化学的、遺伝子工学的に機能強化をはかり、次世代対応型の環境負荷物質除去法の開発を行いたい。チオエーテル開裂酵素の単離へ向けた実験を開始している。
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