Research Abstract |
1. 農地・林地の気象緩和機能の評価:緑地の環境保全効果を明らかにするため,農地や林地の気温調節機能をアメダスの気温資料を用いて実証的に検討した。 まず,県庁所在地の都市を選び,その都市のヒートアイランド効果を検出した。その方法は,当該都市とその郊外の同時刻の気温差を"緑地の気温調節機能"と定義し,1996年の時間単位の資料全部について,この気温差の平均と,最大を算出した。 次に,この平均気温差(〓T)がどのような要因によって支配されるかを,重回帰分析によって解析した。要因としては都市に人口(X),都市とそれの対象地とした観測点の標高差(Y)及び都市の海岸からの距離(Z)である。この結果,平均気温は都市の方が高く,上記の3要因にって線形表示され,相関係数は0.80〜0.85が得られた。しかし,最高気温差についてはOkeが指摘しているように,対数平面上で都市人口と線形的な関係は得られず,上記のような高い相関関係も得られなかった。 本研究の成果は「緑地の気温調節機能に関する研究」として,農業土木学会論文集に投稿した。今後は,同様な手法で,大都市とその郊外の気温差の経年的な変化を追求し,都市化の進行によって,気温差がどのように変化したかを分析する予定である。 2. 降雨の確率水文統計分折:国内において長期間の降雨資料の得られている数地点を選び,降雨の単位時間を年,日,時間,10分間と変えた場合の年最大雨量の確率分布(正規分布,対数正規分布,改良型対数正規分布,3母数対数正規分布,改良型3母数対数正規分布等)を検討した。そしてより適合性の良い関数を抽出すると共に,降雨の基準化によって,降雨の時間・場所に拘わらず適用できる関数型の導出を検討した。 尚,本研究の成果は「年最大降雨量の確率分布関数に関する研究」として,水文・水資源学会誌に投稿した。次年度は,他の地域にも適用し,さらに吟味する予定である。
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