1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10556066
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小久江 栄一 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 学 中外製薬研究所, 部長
加茂前 秀夫 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60262226)
下田 実 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50154323)
取手 恭彦 味の素株式会社, 飼料部, 課長
|
Keywords | 妊娠母豚 / 活性葉酸 / 生産子数 / 葉酸誘導体 / 恒常性維持機構 / 発情再帰日数 / 胆汁中葉酸 / 胚生存率 |
Research Abstract |
妊娠母豚に活性葉酸を飼科添加投与すると、産子数が増加し、離乳後の母豚の発情回帰日数が短縮する。その機序を解明するため、昨年度に続き、1)活性葉酸の排卵数への影響、胎子の子宮内死への影響と、2)卵巣機能への影響、生殖ホルモンバランスへの影響を検討した(予備試験)ので報告する。また本研究継続中、新たに豚の葉酸体内恒常性維持機構についてのテーマが生じ、検討したので、その経過も合わせて報告する。 1)排卵数・胚の子宮内生存に友ぼす影響について:初産豚を活性葉酸投与群と対照群の2群に分け、交配後35日後に母豚を屠殺して、生存胚を子宮から回収した。卵巣の残存黄体数から排卵数を推定し、胚の子宮内での生存胚の性状(数、重量、RNA含量、奇形発現率、成熟度など)、生存率を算出した。また母体の子宮粘膜性状について、形状観察、プロスタグランジン類・プロゲステロン・エストロゲン含量を測定した。生存胚の重量、RNA含量、成熟度が、活性葉酸投与群で有意に高い値であった。生存胚の数については差が出ていない。その他ブロスタグランジン類やホルモン類の測定などの結果はまだ出ていない。 2)離乳後次発情までの日数短縮効果:初産豚を交配し、分娩・授乳させ、離乳後再度交配させた。この間、授乳期以後、離乳し次の発情が来るまで、1目1回の採血で、エストロゲン/プロゲステロン/黄体ホルモンのサージを見ることが目的である。今回は予備試験として、2頭の妊娠豚について、試験期間中の適切な採血間隔、採血量のの検討を行った。現在採血は完了し、ホルモン類の測定を行っているところである。 3)多くの動物で、葉酸の体内恒常性維持には腸肝循環が重要な役割を果たしている。胆汁中に多量の葉酸誘導体を分泌し腸管で吸収し、また胆汁から分泌する回路である。豚についてはこれについての知見がない。慢性カテーテルを装着した豚で、胆汁中葉酸誘導体濃度を測定したが、胆汁中分泌量はラットと同程度、ウサギの約半分であった。体重比にすれば極めて少ない。豚の葉酸恒常性維持には、腸肝循環は関与していないと解釈できる。
|